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【1分でわかる】どうなる世界経済 「インフレの時代」を予言した経済学者に聞く

1分でわかる○○ 更新日: 公開日:
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のチャールズ・グッドハート名誉教授
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のチャールズ・グッドハート名誉教授=2022年10月24日、ロンドン、星野眞三雄撮影

これからはインフレと金利上昇の時代……。2020年の段階でそう予想し、的中させた英国の経済学者チャールズ・グッドハート・ロンドン大学名誉教授。先行き不透明な世界経済をどう読み解けば良いのか、ヒントを教えてもらいました。

この記事は、朝日新聞GLOBEの特集「物価のなぞ」の構成記事として、2022年12月23日に配信されたものを再構成してお届けします。本編はこちらから

ざっくり要点

1.  中国の労働供給が低インフレを促進
2.  世界的な少子高齢化で人手不足に
3.  供給制約でインフレ圧力が長期化
4.  利上げと財政赤字が新たな重荷に

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1, 中国の若い労働力に支えられた繁栄の30年

1990年代からの30年は、グローバル化の進展とともに中国を中心とするアジアの若い労働力が世界市場に大量に供給され、各国企業は賃金上昇を抑えられました。モノやサービスの価格は下がり、インフレ率は低く安定。世界経済にとって素晴らしい時期となりました。日本を除くアジア各国の高成長も、この追い風によって達成された側面があります。日本企業も中国や東南アジアに生産拠点を移し、安く豊富な労働力を手に入れることができました。

2, 世界的な少子高齢化が構造変化につながる

しかし、中国は一人っ子政策の帰結として人口が減少に転じ、先進国でも少子高齢化が急速に進んでいます。介護など労働需要の高い分野で人手不足が深刻化し、賃金上昇圧力が強まります。世界的な少子高齢化は労働力不足を引き起こし、これまでのような低インフレを維持しにくい構造変化をもたらしています。

3, コロナとウクライナ侵攻もインフレ要因に

コロナ禍のさなかに、財政出動と金融緩和によって景気が回復すればインフレ率は5~10%に急上昇すると予想しました。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰したこともあり、この予想は的中しました。供給制約のインフレが顕在化し、各国の中央銀行はインフレ抑制へ利上げを余儀なくされました。

4,  物価上昇と景気悪化の同時進行の懸念も

利上げは景気を冷やすため、世界経済は1970年代のように物価上昇と景気悪化が同時に進む「スタグフレーション」に陥る恐れがあります。しかも現在は多くの国で財政赤字が大きく、金利上昇は国債の利払い負担を膨らませます。英国で減税と財政出動が市場混乱を招いた「トラス・ショック」が象徴的で、日本のように債務残高が極めて大きい国では持続可能性に不安があります。

記者のひとこと

 世界の人口構成の大転換は、物価や金利の「前提」を変えました。これからは供給制約のなかで景気を冷やし過ぎず、同時にインフレを抑える難しい政策運営が続きます。家計や企業にとっても、金利上昇と物価変動の双方に備える発想が欠かせない時代になったと言えるのではないでしょうか。