【1分でわかる】「A、B、C」は偉い順じゃない! 専門家に聞く戦犯裁判と現代への教訓
この記事は、GLOBE+で、2023年11月28日に配信された記事を再構成してお届けします。本編はこちらから
1. A・B・C級は階級ではなく「平和に対する…」「人道に対する…」など罪の種類による区分
2. 裁判の枠組みは、ナチス・ドイツを裁いたニュルンベルク裁判で定式化された
3. 大国の独断ではなく、被害を受けた中小国の声がベースになった
4. 被害者による報復を防ぎ、法によって平和を回復することに大きな意味がある
1, A級・B級・C級、それぞれの正体
よく勘違いされますが、この区分は階級やランクではありません。
2, 中小国の声が生んだ「新しいルール」
これらの新しい概念は、大国が勝手に決めたものではありません。きっかけは、ナチスや日本軍から甚大な被害を受けた中小国による「これまでのルールでは裁ききれない」という悲痛な訴えでした。これが米政府を動かし、まずニュルンベルク裁判で定式化され、東京裁判へと引き継がれました。国際法を使って大国の横暴を防ごうという、中小国の願いを反映しようとした枠組みだったのです。
3, 米国の影響力と残された「証拠」
もちろん、裁判が完全に公平だったわけではありません。また、東京裁判で米国は昭和天皇や731部隊を訴追しないといった強い影響力を行使しました。しかし、この裁判で「平和に対する罪」が議論されたことで、本来なら消え去ってしまうような戦争準備の証拠や残虐行為の記録が次々と提出され、保管されることになりました。こうした記録が残ったこと自体、大きな役割と言えます。
4, 「復讐の連鎖」を防ぐためにも
戦犯裁判の極めて重要な役割は、平和を回復するプロセスで「被害者による直接の報復」を防ぐことです。もし法による裁きが行われなければ、被害を受けた人々が個々に復讐を始め、暴力の連鎖が止まらなくなってしまいます。「加害の責任者は法で罰するから、個人での報復はやめよう」という合意こそが、社会を再び安定させるための鍵でした。現代の国際刑事裁判所(ICC)も、こうした過去の裁判への反省や知恵から生まれています。
実は、現代の国際刑事裁判所(ICC)に参加していないのはロシアや中国だけではありません。世界的なパワーを持つ米国もICCの非締約国です。林教授は、こうした「敗戦国や中小国だけが裁かれ、大国には逃げ道がある」状況を、戦犯裁判の重大な弱点だと指摘しています。しかし、それでも「侵略は犯罪である」という基準が確立されたことには大きな意味があります。中小国の声を国際法にどれほど反映し、大国をどうやってルールに従わせるか。これは人類がまだ答えを出せていない、最も重要な宿題なのです。