【1分でわかる】他の国の領土って買える? トランプ氏の提案を国際法でチェック
この記事は、朝日新聞(デジタル版)で2025年4月6日に配信された記事を再構成してお届けします。本編はこちらから
1. 武力による領土取得は、国連憲章で一般的に禁止されている
2. 経済的に脅して奪うのも国際的な貿易ルールに違反する
3. 非現実的な発言。中国を牽制するための「不可解な変化球」か
1, 武力行使は明確な国際法違反
トランプ大統領は、領土取得のために軍事的な強制措置を取らないことを「確約できない」と発言しました。しかし、売ることを拒否するデンマークに武力を使えば国際法違反になります。国連憲章では、個別的・集団的自衛権の行使や、国連安保理の決議に基づいた例外を除き、武力による領土取得は一般的に禁じられています。また、武力を実際に使うことだけでなく、結果的に目的を達成するための武力による「威嚇」も同じく禁止されています。
2, 経済的な圧力や「威圧」もアウト
「グリーンランドを譲らなければデンマークに高関税をかける」という脅しは、WTO(世界貿易機関)の関税貿易一般協定(GATT)や二国間の経済条約などに違反する可能性があります。GATTでは決められた以上の関税を課すことを禁じており、米国が「安全保障目的の例外」だと主張しても今回は認められにくいでしょう。
3, 提案の本当の狙いは?
中谷教授は、今回の取得をおよそ現実的とは思えないとした上で、グリーンランドなどに影響力を強める中国を牽制するため、トランプ氏が投じた「不可解な変化球」だと分析しています。では、仮に現地の住民が望んでいるとしたら…。それでも外国による後押しは内政干渉になりかねず、ジェノサイド(集団殺害)を受けた住民が生存のために独立するといった究極の状況下を除いて、外部勢力の支援が認められる余地はあくまで例外にすぎません。
もし国際法違反が起きた場合、罰則はあるのでしょうか。中谷教授によると、一般的に違反した国は、原状回復や損害賠償、謝罪などの義務を負います。また、被害を受けた国は経済分野で対抗措置を取ることなどができます。しかし、現実的にこれらを強制することはなかなかできず、謝罪や賠償がなされていない例もたくさんあるのが実情です。