【1分でわかる】豚肉がイスラム教でNGなのはどうして?
この記事は、GLOBE+で、2020年7月18日に配信された記事を再構成してお届けします。本編はこちらから
1. 決定的理由は聖典コーランの記述。「神の言葉」なので絶対守る
2. 「不潔だから」は後付け? 人間と食料が競合しないための知恵説も
3. ひっそり豚肉を売る店も、あることはある
4. ユダヤ教も豚肉は禁止。食のタブーと信仰の関係は
1, 食べない理由は「不浄」だから?
筆者がイスラム教徒に豚を食べない理由を聞くと、「汚い動物だから」という答えをよく聞きました。しかし、本来、豚はきれい好きな動物だと言われています。ではなぜ禁止なのか。最大の根拠はイスラム教の聖典コーランに「死肉、血、豚肉を禁ずる」と明記されているからです。イスラム教徒にとって神の言葉は絶対であり、疑問を挟む余地はありません。「汚いから」という理由は、異教徒に説明するための後付けとも言えます。
2, 宗教で禁じた背景には「食糧問題」や「衛生環境」も
宗教以外の理由として、食糧事情や衛生面の理由があるという説もあります。イスラム教で食べてもいい牛や羊、ヤギが草を食べるのに対し、豚は穀物を食べるため人間と競合してしまいます。厳しい砂漠環境で豚を増やさない知恵だったという説です。また、火を十分通さないと食中毒のリスクが高かったことも背景にあるかもしれません。
3, 買い物は「黒い袋」でひっそりと
中東のイスラム教徒が多い国や地域に豚肉料理はほぼ存在しません。ただ、現地のキリスト教徒などが食べるため、売っている店はあります。しかし筆者が駐在したエジプトでは、豚肉を買うと中身が見えない黒いビニール袋に入れられるなど、まるでやましい物のような扱いを受けます。公の場で大っぴらに食べることは難しく、あくまでひっそり食べるものという雰囲気が漂います。
4, 中東在住日本人の「トンカツ」事情
そんな環境だけに、仕事などで現地に住む(非イスラム教徒の)日本人にとって、豚肉は貴重品です。トンカツや生姜焼きへの想いは強く、一時帰国した際に日本のトンカツを食べるのが何よりの楽しみ、という人も少なくありません。ちなみにイスラエルでは、世俗派やロシア系移民向けに豚肉を出す店もありますが、やはり全体としては少数派です。
イスラム教は、ユダヤ教やキリスト教と同じ「アブラハムの宗教」と呼ばれますが、実はユダヤ教でも豚肉食は禁止されています。特定の食べ物を避けることは、自分たちの信仰の独自性を示す行為でもあります。多神教など他の宗教と差別化を図る政治的な意図も、豚肉を禁じた背景にあったのかもしれません。