「ビールと言えばソーセージ」「いや、枝豆だ」「串カツだろう」。そんな居酒屋談義を根底から覆すビールのおつまみが中国にはあります。それはザリガニ。厄介な外来種として知られる存在が、どうして人気メニューになったのか。今回は江蘇省の養殖場と老舗店を訪れ、その歴史と味の秘密を探りました。
この記事は、朝日新聞(デジタル版)の連載「地球を食べる」で2021年7月23日に配信された記事を再構成してお届けしています。本編記事はこちらから
ザリガニ料理のポイント3つ
- 北米原産のアメリカザリガニが中国に定着し、劣悪な環境でも生きられるため増加。今では全国で食材として人気に
- 都会では麻辣(マーラー)味が定番だが、「ザリガニの都」とも呼ばれる江蘇省のある地域では、様々なスパイスを効かせたもの、アヒルの塩漬け卵の黄身を使ったもののほか、氷でしめた「アイスザリガニ」まで
- 6種類の味付けの108匹入りの料理は約3万円(2025年11月現在)。他のメニューも決して安くはないが、色々な味付けのザリガニを友達同士でワイワイ食べるのは楽しい
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1, ザリガニの歴史
中国にアメリカザリガニが入ったのは1930年代。日本人がペット用に持ち込んだのが始まりという説もある。その後、長江流域の池や水路で繁殖し、1980年代以降に食材として市場に登場。初期は泥臭く食べにくかったが、養殖技術の進歩で品質が向上した
2, 「ザリガニの都」
上海の隣、江蘇省には「ザリガニの都」と呼ばれる県がある。人口65万人で、およそ3人に1人がザリガニ関連の産業で働いているとされる。高速道路の出口には巨大なザリガニのオブジェがあり、「都」らしさをアピールしている
3, 養殖場の現状
江蘇省のある養殖場では広大な池でザリガニを飼育していた。餌に生きた小魚を使うことで、弾力のある食感と大きなサイズを実現している。日中に網を仕掛け、翌朝に収穫する方法で、1日の出荷量は50~100キロにもなるという
4, 人気の理由
ビールとの相性が抜群で、夏に欠かせない存在となり、上海にはザリガニ料理店があふれている。それらの店では夜食としてザリガニを食べる若者の姿が目立ち、恋人に殻をむいて食べさせるようなほのぼのとした光景も
記者の食レポ
「暑い夏はザリガニとビールにかぎる」という知人の言葉に半信半疑だったが、一発ではまってしまった。シンプルな塩ゆでもおいしいが、様々な味付けも可能でバリエーションが豊富なのが良いところ。ただ、そんな時にどうしても目に浮かぶのは、日本でザリガニを大切に飼っている息子たちの顔だった……。