【地球をつまみ食い】完熟マンゴー×もち米 タイで出会った「甘いごはん」の誘惑
この記事は、朝日新聞(デジタル版)の連載「地球を食べる」で2022年2月13日に配信された記事を再構成してお届けしています。本編記事はこちらから
1, 記者の「あわやナンプラー」事件
ホテルで出された謎のメニュー。「果物とご飯って合うの?」と思いつつ、あやうく唐辛子入りのナンプラーをかけそうになった。見た目に戸惑いながらひとさじ食べて、デザートだと判明。もち米とマンゴーが口の中で溶け合い、のどごしもいい。しつこくない甘さが胃にも優しく染み渡り、タイ赴任最初の感動体験となった
2, 創業80年以上!家族で守る老舗の味
バンコクの中華街近くにある名店「パーレック・パーヤイ」。創業1940年、看板には創業者の娘である姉妹(レックおばさんとヤイおばさん)のイラストが描かれている。元々は近所へのお裾分けから評判になり、店を構えることになった。現在は3代目のスムスィさんが、家族と共に伝統の味を守り続けている
3, 「旬」へのこだわりと企業秘密のレシピ
店を開けるのは、1年のうちもち米とマンゴーが収穫できる時期に合わせた5ヶ月間だけ。新米の状態を見て水に浸す時間を調整し、竹かごで蒸し上げるこだわりようだ。ココナツミルクの砂糖と塩の配分は「企業秘密」。マンゴーは糖度の高い「ナムドクマイ種」を使用し、最高の味を安定して提供している
4, 人気の理由
コロナ禍の前は1日400kg(20kg箱×20)ものマンゴーが売れたという人気店。中国や欧米、日本の観光客にも人気だった。今も客足は絶えず、常連客は職場への土産に3.5キロも購入するほど。この店一本で子供3人をオーストラリア留学させた実績が、その味の確かさを証明している。「家族の味を守りたい」と外国に支店を出す誘いも断り続けている
カスタードや揚げ魚チップのトッピングも可能です。最近の派手な「映えスイーツ」とは違いますが、実力は本物。口の中で溶け合う食感と味わいは格別で、思わず「うーん、うまい!」と唸るはず。タイの庶民に愛され続ける理由がわかる一皿でした。