【1分でわかる】盗まれた名画を追え!「美術界のインディ・ジョーンズ」の舞台裏
この記事は、朝日新聞(デジタル版)の連載「美術探偵が行く!」で、2023年11月25日に配信された記事を元に再構成してお届けします。本編記事はこちらから
1, 美術探偵アルテュール・ブラントの実像
オランダを拠点に活動する「美術探偵」アルテュール・ブラントは、裏社会と警察の間に立ち、盗難美術品の奪還に挑み続けている。自らを「仲介者」、警察には「法を守る」、裏社会には「約束を守る」という二つのルールを課している。犯罪者からも信頼を得て、200点以上もの美術品を取り戻してきた。
2, 裏社会の「美術品ババ抜き」と現実のリスク
名画を盗んだ犯罪者でも、裏社会で高値取引は難しく、市場価値の一割程度でしか売れない。盗品を持っていること自体が「頭痛の種」となり、逮捕リスクや無理な売却による廃棄が頻発する。ルーマニア組織の美術品盗難事件では、犯人の母親が作品を焼却した例もある。
3, 報酬・リスク・美術への執念
美術探偵の報酬は意外に少なく、豪奢な生活とは無縁。依頼者から謝礼すら届かないことも多い。交渉には膨大な時間と精神的負担がかかり、不眠症になるほどストレスフル。にもかかわらず、取り戻した美術品を一時的に手元で鑑賞できる事が大きな楽しみであり、「冒険」への強い欲求が活動の原動力となっている。
取材した印象は、一見クールなイケオジ。話せば、とても紳士的で、お話好きの方でした。
「ダ・ヴィンチ・コード」などで世界的に知られる作家ダン・ブラウン氏の大ファンだそうで、ゴッホの絵画を奪還したとき、ブラウン氏が「美術探偵は永遠にクールな仕事だ」と絶賛したのが忘れられない思い出の一つだそうです。
人生をかけた仕事の一つが、1990年にアメリカの美術館から消えたフェルメールの名画など13点の奪還。最近、その「有力情報」が美術探偵のもとに届いたそうです。もし見つかれば、「世紀の大発見」!! 本人は、「日本の皆さんも期待していて」と意味深な笑顔を浮かべていました。