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入手しづらい中東料理の野菜 移住先の畑で作ってみたら

中東を丸かじり
菜園で収穫した夏野菜

中東料理は、日本で作るなら材料の確保が課題になる。特に、神奈川の湘南から移り住んだ三重県の山村は、近くのスーパーマーケットに行くのにも自動車に乗って30分ぐらい掛かる。ちょっと足りない材料を買いに行くのも億劫だ。それなら、自分で作ってしまえばいいのではないか。中東料理で活躍する野菜やハーブは、果たして育つのか。期待と負担を抱えつつ、自宅の菜園づくりを始めて約1年がたった。

中東の野菜ハーブ・ガーデン

田舎に移住した理由の一つが、いろいろな野菜やハーブを育ててみたいとの想い。自宅に隣接する約200坪の段々畑をメインに、山林を切り拓いて小麦やライ麦を栽培している。野菜は完全自給で、冷蔵庫の野菜室は常に空っぽ。食事の前に畑を散策して必要な分だけ収穫する。飛び切り新鮮な野菜を使った料理は、まずいわけがない。

冬の菜園

本当は、年に2〜3カ月は中東に滞在したいのだが、新型コロナウイルスの世界的な感染は続いており、もう1年以上も海外に渡れない状態だ。当然、本場の中東料理が恋しくなる。現地で食べるのが最高とはいえ、味の記憶を辿って自分で再現するのもまた楽しい。そのため、菜園には、中東料理でよく使われる野菜を植えている。

中東料理は、なんといっても夏野菜と相性がいい。ナスやトマト、キュウリなど日本でお馴染みの野菜たちが料理の素材として大活躍する。ただ、同じ野菜でも外国で栽培されている品種を使えば、より現地に近い味わいを再現できるだろう。今はインターネット通販で、外国系の野菜の種を扱う種苗会社も存在する。去年の夏には、取り寄せたスペインやギリシャのナス、イタリアのトマトがうまく育ち、中東料理の食材として活躍した。

菜園で育ったスペインのナス

これらのナスは、ナスはナスだが、日本のナスよりも苦味やアクが強い。日本のナスは、苦味がほとんどなく、和食には向いている。これに対して、中東料理で使うナスが持つ苦味は、奥行きのある味わいを出すのに欠かせない。トマトもイタリアのサンマルツァーノは、エジプトで栽培されているものとほぼ同じ。トマトを多用するエジプト料理には、サンマルツァーノが合っている。

菜園で育ったサンマルツァーノ

パセリやミントはおすすめ

和食ではあまり使わない野菜やハーブの栽培にも挑戦している。中東料理で使われるハーブは、山間部に多いシカによる食害にも遭わないところもいい。日本では、縮緬のようなパセリが多いが、イタリアン・パセリは、タッブーレと呼ばれるパセリやミント、挽き割り小麦を使ったサラダには欠かせない。タッブーレは、縮緬葉パセリでも作れるものの、どうしてもごわごわとした食感になってしまい、本場のような食感が出せない。

イタリアン・パセリは、比較的簡単に栽培できる。ただ、今年の冬は厳しく、マイナス5度ぐらいまで気温が低下することもある山間部では今、勢いがない。少し暖かくなれば、成長し始めるだろう。

冬も生き延びるイタリアン・パセリ

それでも、パセリやミント、フェンネル、ディルなどのハーブは、普段使いには十分な量が確保できるほど育っている。特にミントは、地下茎でどんどん伸びている。旺盛な繁殖力があり、コンクリートで囲われた区画で栽培して、それを越えて広がらないようにしているぐらい。タッブーレのほかにも、ヨーグルトに刻んで入れてオリーブオイルをかけて前菜にしたり、ミントティーにしたりと、中東的な使い方には重宝だ。

そのほか、リーキ、ビートといった野菜も厳しい寒さに強い。この地域では、レモンもぎりぎり栽培できる気候といわれ、近所にはレモンの木が植えられている。トルコで栽培の盛んなヘーゼルナッツ、イランの黒ザクロ、オリーブ、サクランボといった中東でよく見られる果樹も植えており、今後の成長が楽しみだ。

厳冬期にも育つパセリやミント

難しいものもある。中東のペースト料理、フムスを作るのに欠かせないヒヨコマメやクミンなどのスパイス。ヒヨコマメは、いい感じで育ったが、梅雨の長雨で枯れてしまった。雨を避けられるビニールハウスを使えば、日本でも育つらしい。クミンも隣人が栽培に挑戦している。何度か試みているが、これまでのところスパイスを取るのには至っていない。一方で、中東料理でよく使われるコリアンダーのスパイスは、栽培が容易。コリアンダーの栽培を続ければ、種がたくさんできる。それを乾燥させれば、スパイスのコリアンダーだ。

挽き割り小麦の代用に雑穀

ある日、料理や農業が大好きな知人を訪問するのに、なにか中東料理を作ろうと思い立った。さあ、何を作ろうかと考えを巡らせた。夏のようには材料は揃わない。得意のタッブーレはどうか。パセリやミントはある。青唐辛子は、乾燥させた赤唐辛子で代用すればいい。レモンも、冷蔵庫にストックがある。生憎、ブルグルと呼ばれる挽き割り小麦を切らしている。挽き割り小麦は、小麦を加熱・乾燥させて砕いた中東を代表する食材の一つ。パスタを砕いて代用できそうだが、やったことはない。似たような形や大きさの食材である雑穀のアワやアマランサスが食品庫に眠っている。これを使えばいいのではないか。

タッブーレを作る際に挽き割り小麦の代用に雑穀を使う場合、水分を吸収する量や時間に注意する必要がある。タッブーレを作るコツは、レモンやトマト、パセリの水分やオリーブオイルを挽き割り小麦に吸わせ、旨味を保持しつつ水っぽくならないようにすることだ。雑穀は、固い種子であり、挽き割り小麦のようには吸水しない。だから、そのまま使う場合は、挽き割り小麦を馴染ませるのに必要な30分程度の時間を、2時間以上に延ばす必要がある。

雑穀を使ったタッブーレをすぐに味見したところ、雑穀のガリガリとした食感が気になった。ところが、これを2〜3時間放置したみたら、うまくまとまっていた。前日から準備できる時間的な余裕があるなら、水に雑穀を浸けて発芽させれば、食感もいいし、栄養も高まっているだろう。パセリやミントは、プランターでも簡単に栽培できる。雑穀もスーパーマーケットで手に入る。日本でも簡単に入手できる身近な材料で、代表的な中東料理の前菜を作ってみてはどうだろうか。

自宅で作った雑穀タッブーレ
【動画】雑穀タッブーレの作り方