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カショギ氏殺害で注目を集めるサウジ皇太子も大好物 サウジの豪快な肉料理

中東を丸かじり
結婚披露宴でカプサを食べるサウジ人

改革派で開明的と、もてはやされたサウジアラビアのムハンマド皇太子の評判が地に落ちてしまった。米国の情報機関を統括する国家情報長官室が2月26日、米紙ワシントン・ポストなどでコラムニストを務めたサウジ人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害事件で、ムハンマド皇太子が氏の「拘束または殺害」を承認していたとの報告書を公表した。米サウジの同盟関係は、米国の中東政策の大きな柱の一つ。実質的な権力者で次期国王に就任する可能性が高いムハンマド皇太子との関係をめぐって、バイデン米政権は苦慮している。

子供時代から異彩放つ

カショギ氏は、もともとサウジ王室に近い人物だったが、ムハンマド皇太子の改革に賛成しながらも、皇太子の強権的な政治手法や不十分な改革姿勢を批判していた。カショギ氏は生前、トルコ・メディアのインタビューで、サウジに民主主義や選挙を導入して有権者に政権運営を評価させる政治制度を導入したり、政治的イスラム、すなわちイスラム組織ムスリム同胞団などのようなイスラム政治組織を受容したりすべきだと提言していた。

建設的な提言ではあるものの、原油資源という富を独占して国民に分配するサウジ王室の瓦解につながりかねず、ムハンマド皇太子はカショギ氏の存在に懸念を抱いた可能性はある。ムハンマド皇太子は否定的な意見や反対する者を受容しないともいわれる。非常に限られたアドバイザーたちに依存し、またアドバイザーたちが皇太子に異議を呈することはまれだという。忖度した側近たちがカショギ氏の殺害に走ってしまったとの見方もできる。トルコのサウジ総領事館で白昼にカショギ氏が殺害された事件の衝撃は大きかった。国内外の反体制派を震え上がらせる効果は十分あった。

サウジアラビアの首都リヤドの郊外

揺らぐ米サウジ同盟

バイデン大統領は就任前、カショギ氏の殺害でムハンマド皇太子を厳しく批判し、「パーリア」(のけ者)との言葉も使ってサウジとの関係見直しを公約に掲げていた。政権発足後、「世界最悪の人道危機」ともいわれているイエメン内戦へのサウジの軍事介入をめぐって、バイデン政権は、サウジのイエメン介入に対する軍事協力を停止した。サウジに対して厳しい姿勢を取った。ここまでは良かった。が、ムハンマド皇太子がカショギ氏の殺害で名指しされた報告書の公表後、皇太子を制裁対象に加えなかったことで、バイデン氏が標榜する人権重視の政治姿勢と矛盾するのではないかとの批判を浴びている。

米政権が苦慮するのも当然だろう。ムハンマド皇太子は35歳と若く、国王に就任した場合には長い付き合いになる。バイデン政権は現在、皇太子が国防相を兼ねていることから、ムハンマド皇太子の対話相手はオースティン米国防長官だとして、バイデン大統領は皇太子との対話や接触を拒否している。ムハンマド皇太子がカショギ氏殺害問題で制裁対象に加えられれば、将来的にも接触が難しくなる。

サウジで活動するコンサルタントによると、サウジ国内では中国のプレゼンスが高まっているという。最先端技術が好きなムハンマド皇太子は、中国との関係を重視しており、対米関係悪化の際の「保険」として対中関係を強化していこうという動きもある。今や、サウジにとって原油の最大の顧客は中国だ。米サウジ同盟がさらに揺らげば、中国が割って入り、サウジに対する中国の影響力がさらに強まるという、外交的に見れば、米国の大きな損失につながりかねない。バイデン政権は、米国からのメッセージを受け止め、ムハンマド皇太子が刺激的な政治姿勢を改めることを期待しているようだ。

コーヒーを振る舞うサウジ人

ムハンマド皇太子は、既存の価値観やルールに挑戦する若き指導者として、サウジ国内では人気がある。皇太子は登場以来、腐敗の一掃に取り組んだほか、女性の自動車運転の解禁や、映画館の自由化など特に若者に人気の施策を相次いで打ち出した。身長約190センチと立派な体格を支えるための食欲も旺盛だ。皇太子は肉が大好物。子ヤギ1頭が朝食に供されることもあるという。

豪快な肉の炊き込みご飯カプサ

サウジの伝統料理で有名なのは、食欲をそそる肉入りで、香辛料をふんだんに使った炊き込みご飯のカプサ。結婚式では、羊が何頭もほふられる。サウジ滞在中に遭遇した宴席や在京サウジ大使館のパーティーでカプサを食べ、香辛料の豊かな香りの虜になった。

カプサを食べるサウジ人たち

ある日、三重の山奥にある自宅に、隣の集落の猟師が軽トラでやってきた。新型コロナウイルスの感染拡大で、レストランに卸すシカ肉の売り上げが芳しくないという。この日は、イタリアン・レストランに送った部位を切り取って残ったモモや肋の鹿肉を骨付きで10キロぐらいも頂戴した。きちんとした衛生管理下でさばかれ、きれいに血抜きされた肉は、とても美しい。炭火で焼いて柚子胡椒というシンプルな食べ方が美味かった。赤ワイン煮も最高だ。

いろいろ料理してもまだ肉はある。骨付きの豪快な肉があるのでカプサも作ってみようと思い立った。カプサは通常、ラムや鶏肉が使われる。鹿は、イノシシと違って夏に脂が乗るといい、今の時期はあっさりした味わい。だから、バターやオリーブオイルをたっぷり使って濃厚さを増してみた。ヨーグルトやトマト、ニンニク、玉ねぎも入り、これだけで栄養的に完結しそうな料理である。カルダモンやターメリック、シナモン、クミンなどの香辛料が鼻腔をくすぐる。チリペッパーは入らないので、辛くない。意外にも優しい味わいだ。

自宅で作ったカプサ
【動画】サウジの伝統料理カプサの作り方