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レゴマインドストーム開発者に聞く 予測不能な時代に備える教育

World Outlook いまを読む

――近著『ライフロング・キンダーガーテン創造的思考力を育む4つの原則』(邦訳:日経BP社)で、子どもの創造的な学びの大切さを説いていますね。

世界の変化はかつてなく速い。だからこそ、子どもたちが創造的に考え、行動できる能力を伸ばすことはとても大切です。そうした能力を備えれば、人生で直面する不確定な流れや、予測不能な事態に対応できます。

――子どもの発達過程はAIとは違いますか。

子どもが成長し世の中を理解していく道筋は、コンピューターのプログラムとはまったく違います。子どもたちは動き回り、世界中の物事や人びとと影響し合い、多様で豊かな相互作用を通して理解を深めていくのです。

――そうした子どもの特性を踏まえ、教師が一方的に情報を伝える従来の教育方法を、「子ども中心」に変えるべきだとも主張していますね。

教師は、子どもが創造的思考の持ち主になるようにサポートするべきだ。私が「創造的学習の四つのP」と呼ぶもの、すなわち情熱(パッション)をもつ企画(プロジェクト)に、仲間(ピアーズ)と遊び(プレー)心をもって取り組めるよう、学校の内外で支援するべきです。それは教師が一方的に教えるスタイルとは異なるし、子どもがワークシートを単に埋めるのとも違います。

例えば、子どもは幼稚園で、積み木など自分のお気に入りの遊びを仲間と楽しく遊びながら共有し、振り返り、気づき、改良して多くのことを学ぶ。この幼稚園式アプローチが、どんな年齢の人にも創造力を育むのに有効なのです。

学校や子どもたちはもっとプロジェクトを重視した取り組み方を模索するべきです。子どもがアイデアを出し、それを基にプロジェクトを発展させ、他者と共有し、協力し、感想をもらい実験し、さらにそうした体験を基に改良し続ける。こうしたことこそ、子どもたちが現代社会を生き抜くために準備するべきことです。

――教授は、簡単に使えるプログラミング言語「スクラッチ」の開発を率い、いまでは世界中の子どもがプログラミングをしています。国ごとに作品には特徴があるのでしょうね。

いえ、じつは類似点が多いです。それは、違いよりもずっと意味がある。子どもたちはみな、探究し、実験し、自己表現したがる。もちろん創造するプロジェクトの種類はそれぞれの経験に基づくので、違うかもしれません。でも、子どもは好奇心や知りたがることから始まり、自分の考えを他人と共有したがるもの。私たちは成長の過程で、このような特質をサポートし続けたいと思っています。

――教授自身はどんな子ども時代を過ごしましたか。

私はゲームやスポーツをしたり、自分で新たにゲームなどを考え出したりしました。幸運にも、両親は私に協力的で、自宅の裏庭を掘ってミニゴルフコースを造ったり、実験をしたりすることを許してくれた。時間ごとに何をするか決められている子どももいますが、私には新しいものを調べ、試し、作る時間がたっぷりありました。

親が多くの専門知識をもつ必要はありませんが、子どもが創造力を駆使して何かをしようとする時は、励ますことです。私の両親はエンジニアでもデザイナーでもありませんでしたが、プロジェクトを進めるうえで私に力を貸せる人を見つけることを手伝ってくれました。子どもによって興味や創造力をどう表現するかは違います。親は、我が子の創造性をサポートするには何が最良の方法かを見極めるよう心掛けたらいいでしょう。

(聞き手・丹内敦子) 

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Mitchel Resnick
マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボ教授(学習研究)
1956年生まれ。世界中の子どもたちに使われているプログラミング言語「スクラッチ」の開発を率いるほか、レゴ社と協力して「レゴマインドストーム」なども開発。「この1000年で最も偉大な発明は幼稚園だ」とし、自らの研究グループを「ライフロング・キンダーガーテン(生涯幼稚園)」と命名。