スーパーに並ぶ再生プラスチック デポジットで回るドイツのリサイクル
プラスチックごみの回収に消費者が協力し、再生された商品を消費者が買う。リサイクルの輪を完成させるには、消費者の行動も重要だ。
ドイツ中部のフランクフルトから電車で2時間ほどのネッカーズルム。ドイツの大手スーパー「シュバルツグループ」が本社を置くその小都市にあるシュバルツ傘下のスーパー「リドル」を訪れた。
まず目に入ったのは、入り口の前にずらりと並ぶ容器類の回収・選別機だ。買い物客の女性が持ってきた使用済みのペットボトルや缶を、次々と入れていた。投入した容器を種類ごとに中の機械が分け、その種類と量に応じて自動計算して、紙のレシートが出てくる。そのレシートをレジなどで渡すと、ペットボトルの場合、1本につき0.25ユーロ(約46円)を返してもらえる仕組みだ。
消費者が洗って無償で返却に協力する日本の回収ボックスとは異なる。ドイツでは消費者が買い物のときに容器代を先に払い、容器を持っていくとお金を返してもらえるデポジット(預かり金)制が定着している。捨てるより返却する行動を促す経済的なインセンティブで回収率を上げているのだ。
店内に入り、食品や日用品の陳列棚を見回したところ、日本のスーパーとほとんど変わらない。だが、商品を手にとって見てみると、シャンプーのボトルに「96%リサイクルプラスチック」といった表示がある。「100%リサイクル可能なプラスチック製」の容器も並んでいた。
肉コーナーでは、プラスチック容器を硬いトレーから透明の袋に切り替えた商品も陳列されていた。
リドルで容器包装の責任者を務めるシニアコンサルタント、ヤン・ゼーガーさんは「使うプラスチックの量を減らすことに成功した。消費者が手に取る際、袋越しに肉をつかむような簡易包装に抵抗があるかもしれないと思ったが、受け入れられている」と話す。
新品のバージン樹脂と比べ割高な再生プラスチック容器にかかるコストが、価格に転嫁されているのか聞くと、答えは「ノー」だという。すべての消費者が環境意識が高いわけではなく、ゼーガーさんは「消費者が第一に求めるのは、やはり価格が大きい。企業努力によって新品のボトルと同じ値段にしている」と説明する。
同グループは、欧米の計32カ国でリドルやカウフランドの名で1万4000を超える店舗を展開するが、以前のシュバルツをよく知る人にとっては「安売り」のイメージしかなかったという。しかし、「オーナーの意向でこの10年ほどの間に環境やサステイナビリティー重視の方針を強めた」とゼーガーさん。再生プラの活用もその一環だ。
背景には、スーパーでの取扱量が多い容器包装類が、世界中で批判の標的になったことがある。
同グループは2018年に廃棄物処理・リサイクル会社を買収。店舗で大量に出るプラスチックの容器包装ごみをリサイクルすれば、コスト削減などメリットも大きい。
グループ全体として30年までに、自社ブランド製品に使った容器包装類と同じ量を回収してリサイクルすることや、同製品の容器包装に再生プラを使う割合を30%まで引き上げること、バージン樹脂によるプラスチック容器包装を15%減らすことなどを目標に掲げる。ゼーガーさんは「複数のプラスチック素材を使った包装類は素材の分離が難しいので、リサイクルしやすい単一素材に変えるといった努力も続けている」と強調した。
スーパー内を1時間ほどくまなく回って外に出ると、その廃棄物処理会社の名前をボディーにあしらった何台もの収集運搬車が忙しそうに走り回っていた。