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「世界のごみ捨て場」から「リサイクル大国」に 中国のリサイクル産業最前線

World Now 更新日: 公開日:
昨夏、視察をした中国の再生プラスチックの状況を振り返り、「人海戦術が強み」と話す日本容器包装リサイクル協会の前川恵士・業務執行理事兼プラスチック容器事業部長=東京都・虎ノ門の日本容器包装リサイクル協会

かつて「世界のごみ捨て場」と呼ばれた中国は、今や再生プラスチックの一大拠点となりつつある。人海戦術と国家主導で進むリサイクルの現場を視察した業界団体幹部に聞きました。

中国はかつて、日本や欧米など先進国からプラスチックや金属などの廃棄物が集まってくる「世界のごみ捨て場」といわれていた。それが今や「リサイクル大国」にのしあがろうとしている。

日本容器包装リサイクル協会は昨年7月、日本の関係機関や企業担当者らとともに、中国の再生工場など10カ所の現場を視察した。同協会業務執行理事の前川恵士さん(65)は、巨大工場で食品用容器を再生プラスチックでつくっていることに驚いた。

食品用容器にも再生 鍵を握る「人海戦術」

広州市から新幹線で1時間半ほどの郊外にある「広西梧州国龍再生資源発展有限公司」のリサイクル工場。敷地は約21万平方メートルで、日本にある同種の工場の2~3倍の処理量を誇る。年間約31万トンのプラスチック廃棄物から、再生プラ製品の原料となるペレット、日用品などの包装フィルムとともに、食品用容器もつくっていた。

食べ物に直接触れる再生プラ容器やフィルムには、食べ物以外に使った廃プラは使わない。洗浄しても落とせず、健康に悪影響を与えかねない物質が再生プラ原料に混入する恐れがあるためだ。単一素材で使われ方がはっきりしているペットボトルを除けば、リサイクル原料は欧州でも一部のメーカーの牛乳ボトルに使われている程度という。

中国の再生プラスチック関連施設を訪れた日本の視察団一行=2025年7月、日本容器包装リサイクル協会提供

その解決策の一つは「人海戦術にある」と前川さんはみる。機械では容器の変形や汚れなどによって、何に使っていたかの判別が難しいが、人の目なら食品用か日用品用かを見分けられる。そうやって欧米の衛生基準も満たす質のよい製品ができているという。前川さんは「その再生プラを使ったボトルをスペインの大手スーパーで扱っていると聞いた。中国はずっと先を行っている」と感心する。

家庭からの回収方法も日本とは全く異なる。中国の街中では、あちこちに「回収中心(センター)」という看板を掲げた店舗があり、住民たちはプラスチックや金属など家庭で不用になった「がらくた」を売るために持ち寄る。前川は「中国人には、売れるのだからごみという意識はないらしい」という。

再生量も日本と桁違い

中国物資再生協会の発表資料によると、中国では2023年に約1900万トンの廃プラを回収し、そのうち約1600万トンが再生されたという。サーマルリサイクルのための焼却などを除くと約200万トン弱の日本とは桁違いだ。

それを可能にしているのは、安い人件費を生かした人海戦術と蓄積した処理技術で、再生プラの方が低コストという背景もある。輸出も盛んで、再生プラのフォトフレームや壁パネルを、欧米や日本、東南アジアに出荷している業者もあった。

国家事業としてリサイクルに本腰を入れる姿勢もうかがえる。廃プラや非鉄金属などの再生資源の有効活用や事業の成長を目的に、習近平国家主席肝いりの国策会社「中国資源循環集団」を24年に発足させた。前川さんは「中国ではグリーン経済をてこに経済をより強化しようという面が強いと感じる。ただ、人海戦術によるコスト安がリサイクル事業を支えているとすれば、(賃金が上がる)将来にわたってサステイナブルなやり方かどうか注意深く見守る必要がある」と指摘する。