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プラスチックゴミ問題を解決する技術とアイデア アジアから続々発信中

アジア発のソーシャルイノベーション 〜バリ島からの便り〜

2050年には、重さで言うと海に魚よりプラスチックゴミの方が多くなるかもしれない、と言われていることをご存知ですか?

約3年前に、世界経済フォーラムで2050年の予測が発表されてから、海ごみやプラスチック問題はみるみるうちに、世界中で取り上げられるようになりました。最近は、プラスチック関連のニュースを見ない日はないほどまでに、この問題に対する世界の感度は高まっています。

人間はこれまでに、足首ほどの高さに広げて並べたら、世界で8番目に面積の広い国、アルゼンチンを埋め尽くすほどのプラスチックゴミを製造してきました。しかし、その中でリサイクルされたものはごくわずかで、8割は埋立地や街、海など自然の中に、未だにそのままの形で存在します。

海に流れ出たゴミは海流にのり、海上には吹きだまりのようにゴミが集まる場所ができます。太平洋の真ん中に、そんな場所が見つかったのは実は30年も前のこと。そして現在、その大きさはなんと、フランスの面積の3倍あると言われています。

濱川明日香海のごみ

飲むのには5分くらいしかかからないペットボトルですが、海ゴミとして海に残る期間は450年。

プラスチック問題は今、地球規模の問題です。

濱川明日香_01
米国海洋大気庁とウッズホール海洋研究所による予測:https://www.weforum.org/agenda/2018/11/chart-of-the-day-this-is-how-long-everyday-plastic-items-last-in-the-ocean/

日本にとっても他人事ではない!?

私が住むインドネシアは、世界で2番目に海ごみを排出している国で、街中、田んぼのあぜ道、川、海、日常生活のそこら中で、プラスチックゴミを目にします。

日本にいると、あまり街中でプラスチックゴミが散乱しているところを見ませんが、実は日本人にとっても、他人事ではもうないのです。

2年前の調査では、東京湾のカタクチイワシの8割が、お腹にプラスチックを溜めていることがわかりました。これらは、大きさが5ミリ以下の微細プラスチック「マイクロプラスチック」ですが、その1割が、スクラブのような洗顔料に入っているマイクロビーズ。私たちが毎朝顔を洗う時、まさかその流れた水が下水処理場を通り抜けて海に流出し、魚が食べているとは思いませんが、もしかすると、食べ物となって私たちのお腹に戻って来ていてもおかしくないのです。

先月は、世界中の食卓塩39ブランドのうち9割から、マイクロプラスチックが検出されました。そしてそれから間も無く、ついに人の便からも検出されたのです。それも、調査対象となったヨーロッパ、ロシア、日本8カ国を代表する8人全員の検体から。

それでも日本は、今年6月に開催されたG7シャルルボワ・サミットで、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、EUが海洋プラスチック問題に取り組む「海洋プラスチック憲章」に署名した中、アメリカと共に署名を拒否したのです。「国内法が整備されていないため、社会に与える影響が現段階ではわからない」という理由で。

世界の取り組み

近年世界中で、使い捨てのプラスチック製品の廃止が進んでいます。今年8月にニュージーランドが使い捨てレジ袋の廃止を宣言。2002年にバングラデシュが率先して使い捨てレジ袋をを廃止し、ニュージーランドは15カ国目となりました。EUは、コーヒーカップなど使い捨てプラスチック製品の使用を廃止する「プラスチック禁止法案」を可決し、使用するプラスチック包装を2030年までに100%再生利用可能なものとすることを宣言。イギリス、アメリカやカナダはマイクロビーズ入りの製品の製造をすでに禁止しています。

今年に入って、大企業も挙って取り組み始めました。スターバックスは2020年までにプラスチックストローの使用を廃止、マクドナルドやコカコーラはパッケージにリサイクル素材を使うことなどを決めました。イケアは2020年までに全世界で使い捨てプラスチック用品販売を廃止。日本でも、すかいらーくが2020年までにプラスチック製ストローの使用を廃止することを発表しました。ここ一年で、企業のプラスチックフリームーブメントが、急速に加速しています。

世界では、使い捨てプラスチック容器を一切使わないスーパーマーケットや、リサイクル品だけを売る店などが次から次へとできていますが、ここインドネシア・バリ島でも、野菜くずなどを堆肥として活用するなどゴミを出さない「ゼロ廃棄物レストラン」や、プラスチック製品は売らない、使わない「プラスチックフリーショップ」が今年、バリ島で初めてオープンしています。

アジア発のプラスチックイノベーション

近年アジアでは、広く世の中に普及することができれば、世の常識を覆すゲームチェンジャーとなり得る技術が、日々開発されています。

▶︎ 食べられる食品包装を開発するEvoware(インドネシア)

インスタント食品を食べては容器を道に捨てることが日常的なインドネシアで、食品包装がゴミにならないよう、海藻を原料としたEdible Packaging(食べられる包装)を開発するインドネシアのスタートアップEvoware。お湯に溶けるので、例えばインスタント食品の調味料袋として使われた場合、袋を破かずに、そのままお湯をかければ溶け、無味なので味は変わらず、かつ海藻なので体にも良い、という代物です。砂糖やコーヒーの袋、インスタント食品の調味料袋、ハンバーガーの包装、ストロー、シャンプーなどに使われ始めています。

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Evoware提供
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Evoware提供

▶︎ 1日で自然に還る100%オーガニックなレジ袋を作るEnviGreen(インド)

プラスチック問題の中でも注目される、使い捨てレジ袋問題。世界中の人がエコバッグを持参し、お店でレジ袋をもらわないのがもちろん一番理想的です。インドでは多くの市でレジ袋が廃止されていますが、エコバッグを買えない貧困層の人もまだまだ多く存在することを目の当たりにしたインド人の青年が4年かけて開発したのが、1日で常温の水に溶けてなくなる100%オーガニックレジ袋です。

ジャガイモやコーンやバナナなどの植物を主原料として作られており、従来のレジ袋と比べてコストは35%高いですが、エコバッグを購入するよりは500%安いそう。

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出典:https://www.thebetterindia.com/77202/envigreen-bags-organic-biodegradable-plastic/

▶︎ プラスチックゴミを燃料に変える機械を発明したGet Plastic(インドネシア)

上記のように、プラスチックに代わる代替品を開発するソーシャルスタートアップは最近急速に増えていますが、ではすでにプラスチックゴミとして世に残ってしまっているものはどうしたらいいのでしょうか。

Get Plasticは、プラスチックゴミを燃やして燃料に戻す技術を開発した、ジャカルタ出身の若者たちが運営するインドネシアのスタートアップです。プラスチックの廃棄物はゴミではなく、資源なのだということを周知するため、この技術の開発を行っています。

1kgのレジ袋やペットボトル、プラスチック食品包装を燃やすことによって、1リットルの燃料を抽出することができます。現に開発者のディマス氏は、ジャカルタからバリ島まで、この機械をバイクに乗せ、路上のゴミを拾いながらそれを燃やし燃料に変えて、バイクを走らせてきていました。その距離1200km、燃やしたプラスチックゴミ130kg、かかった時間1ヶ月。

ただ、「燃料になるから」と思うと、お店で無料でもらえるレジ袋は、無料の燃料になりかねません。これにより、プラスチックの消費が削減されない、または加速するような事態を引き起こすことを避けるため、この技術の普及には非常に慎重です。

来年は、技術を改善し続けると同時に、この装置をバスに乗せ、プラスチックゴミで走るバスを開発するそう。バックトゥーザフューチャーPART2に出てきたゴミを燃料に走る「デロリアン」のような車が、実際に実現するかもしれないのです。

日本のプラスチックゴミはどこに行くのか

日本でも年間900万トンのプラスチックゴミを排出していますが、輸出するゴミの7割を送っていた中国が今年から受け入れを拒止したことで、日本のプラスチックゴミは行き場をなくしています。 その量年間東京ドーム3個分。世界中で規制が厳しくなる中、ベトナムやタイなど、次の輸出先(=汚染先)を探すのではなく、日本もこれからは、自国で出したゴミは責任持って自国で処理して行かなければなりません。

「リサイクルするからいくらでも使って良い」のではなく、まずはReduce(リデュース=削減)を徹底することが大事。そしてできないものに関しては、Repair(リペア)して長期間大事に使い、そのものとしての機能を失ったならRecyle(リサイクル)、そしてReuse(リユーズ)てという、4Rのプロセスをより体系的に考え、社会の仕組みに組み込んで行くことが大事です。

日本でも、65%の人が、「プラスチック製のパッケージや使い捨て製品が不要・過剰だと思うことがある」と答えたというデータがあります。さらに、「環境に配慮したパッケージや製品を提供する企業はイメージが良い」と回答した人は80%。そして「多少不便になっても環境に影響のあるパッケージや使い捨ての製品は必要ない」とまで答えた人が54%。消費者の意識は、政府や企業が想像するより高まっているのかもしれません。