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こんなにごみを出しながら生きている 写真で廃棄物問題を可視化する

世界報道写真展から――その瞬間、私は
オランダのアムステルダムでごみを収集する作業員 photo:Kadir van Lohuizen/NOOR Images

道端に積み上げられたごみ袋は、作業員によって手際よく収集車の中に放り投げられ、一瞬のうちに車と共に消える。オランダの首都アムステルダムで撮影された1コマだが、日本でもおなじみの光景だ。
「ごみが路上に置かれているのはほんの数時間。そのおかげで私たち都市で暮らす人々は、どれほど大量のごみを出しているのかあまり意識しない。ごみは『見えない問題』なんです」。撮影したオランダ人写真家のカディル・ファン・ローイゼン(55)は言う。「2、3週間ほど作業員がストでもすれば分かるのだろうが」
ファン・ローイゼンがごみ問題に興味を持ったのは、地球温暖化による海面上昇をテーマにした企画で、太平洋の島々を訪れていた時だ。「小さな島々の浜辺に、明らかにその地域から出たものではないごみが大量にあるのを見て衝撃を受けた」。この地球規模の課題を視覚的に伝えようと、世界の各大都市でごみを追う企画を立てた。
ナイジェリアの大都市ラゴスで埋め立て地からリサイクル用のペットボトルを集める人たち、米ニューヨークでごみを満載して川を渡る船、東京の古紙回収トラック――。社会が物質的に豊かで便利になるにつれ、ごみの量は急増している。その中で「リサイクルが最も進んでいる」と希望を見いだしたのが東京だった。「完璧ではないかもしれないが、世界が日本から学ぶことは多い」。ただ、その東京もやがて埋め立て地がいっぱいになる。「暮らし方を変え、ごみを出すのを減らすしかない。それが私の結論だ。さもなくば、将来の世代はごみに埋もれて暮らすことになる」(GLOBE記者 浅倉拓也)

■地球上のごみ
世界銀行の2012年の報告書によると、1年間に生活から出るごみの量は、世界で約13億トン。2025年には22億トンに増えると推計される。途上国で都市化が進んでいることに加え、1人あたりが出すごみの量も増えているためだ。国連環境計画(UNEP)によると、日本は1人が出す使い捨てプラスチックごみが米国に次いで世界2番目に多い。プラスチックごみによる海洋汚染は深刻な問題になっており、今年6月のG7サミットでは、その削減を掲げた「海洋プラスチック憲章」が議論されたが、日本は米国と共に署名を見送った。政府は「国内調整の時間がなかった」などと説明している。

世界報道写真展2018(世界報道写真財団、朝日新聞社主催)

大分の立命館アジア太平洋大学で9月16日から10月3日まで、受賞作を紹介する写真展を開きます。