地球はコロナより遥かに前から非常事態 私たちはこれから地球をどうする?

先日、世界での新型コロナウィルス感染による死者が100万人を超え、感染者は4000万人を超えました。
世界中で緊急事態宣言が発令されて半年が経ちましたが、私は少し違和感を覚えていました。なぜなら、世界はコロナより遥か前から非常事態で溢れていましたが、これまで一度がそのことで止まることはなかったのに、今回は世界中が一時停止したからです。
私は、アジア太平洋の社会課題や環境問題を解決し未来を変えるチェンジメーカーたちを支援・育成するEarth Company(一般社団法人アースカンパニー)というNGOを運営しており、日々、世界の社会課題や環境問題にまつわる数字を目にしています。その多くは実に厳しい世界の現実を映し出すもので、「非常事態」がコロナに始まったわけではないことを示しています。
たとえば世界では、
Earth Companyが支援する東ティモール(アジア最貧困の国)のチェンジメーカーベラ・ガルヨスによると、多くの地元民は、このパンデミックに関して恐怖心は持っているものの、それ以前に飢餓や栄養失調で亡くなる可能性が高い人がたくさんいることが最大の懸念なのだそうです。食糧の多くを輸入に頼るこの国は、ロックダウンにより食糧危機がさらに悪化してしまいました。
「ステイホームできるだけ恵まれてる」。そう言うのは、同じく私たちが支援するミャンマーのイスラム系少数民族であるロヒンギャ出身のチェンジメーカーウェイウェイ・ヌー。ロヒンギャ族は、2017年のビルマ軍による迫害により数週間の間に約70万人が隣国バングラデシュに着の身着のまま逃れ、難民と化した民族。彼らに「ステイホーム」する家はないのです。衛生状態の悪い難民キャンプでは、国際支援により石鹸が配布されても、手を洗う水がありません。
途上国では以前からこうした非常事態であふれていたのに、なぜ今回初めて世界中で非常事態宣言が発令されたのか。それは、「非常事態」に襲われたのが先進国中心だったからではないでしょうか。
今世界では、新型コロナの第二波、第三波を起こさないための「ニューノーマル」が各地で導入されています。でも、上述の通り、「非常事態」はこの感染症だけではありません。では、世界の非常事態を食い止めるための「ニューノーマル」は何なのでしょう?
今あるのは、
環境を犠牲にしなければ発展できない成長モデル。
途上国から搾取しなければ発展できない先進国の経済モデル。
強者にのみ生きやすい、弱者が取り残される社会モデル。
ポストコロナは、何かが発展する一方で犠牲や課題を生み出すのではなく、「私たち」の概念を「私たち=日本人」から「私たち=地球・世界の人々」に広げて、「地球に存在する全ての生き物の包括的なウェルビーイング」を追求するあり方にシフトしなければ、世界のみならず日本においても、次世代につなぐ未来はありません。
今こそ、社会の課題を解決する仕組み、そもそも課題を生み出さない社会、さらには人と自然と経済それぞれの存在・発展が相乗効果をもってそれぞれのさらなる成長に寄与する循環型の社会のあり方が必要とされています。
そのような新しいあり方へのシフトには、少なくとも以下6つの要素を同時に促していくことが必要です。
これらが実現された社会の新しいあり方をEarth Companyは「Earthly(アースリー)なあり方」と呼んでいますが、今月10月を「Earthly October」と称して、「Earthly」なあり方をみんなで一緒に実践してみる企画を1ヶ月を通して行ってきました。一部のコンテンツは無料公開されていますので、「Earthlyなあり方」にご関心のある方は、ぜひ「キャンペーンサイト」を覗いて見てください。