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地球はコロナより遥かに前から非常事態 私たちはこれから地球をどうする?

アジア発のソーシャルイノベーション 〜バリ島からの便り〜

先日、世界での新型コロナウィルス感染による死者が100万人を超え、感染者は4000万人を超えました。

世界中で緊急事態宣言が発令されて半年が経ちましたが、私は少し違和感を覚えていました。なぜなら、世界はコロナより遥か前から非常事態で溢れていましたが、これまで一度がそのことで止まることはなかったのに、今回は世界中が一時停止したからです。

私は、アジア太平洋の社会課題や環境問題を解決し未来を変えるチェンジメーカーたちを支援・育成するEarth Company(一般社団法人アースカンパニー)というNGOを運営しており、日々、世界の社会課題や環境問題にまつわる数字を目にしています。その多くは実に厳しい世界の現実を映し出すもので、「非常事態」がコロナに始まったわけではないことを示しています。

たとえば世界では、

  • 年間約30万人の妊産婦さんが予防可能な原因で亡くなっています。
    その9割以上が途上国のお母さん。99%が予防可能だと言われています。
  • 子供が5秒に1人、亡くなっています。一年で630万人。コロナ死者の6倍です。
  • 貧困で亡くなる人は、年間1800万人。コロナ死者の約18倍。現在8億人が、健康に生きるために必要な食糧を得られていないと言われています。世界で作られる食糧の1/3は、誰の口に入ることもなく廃棄物として捨てられているのに。
  • 約3800万人がHIVを抱えて生きています。今年新型コロナウィルスに感染した人(回復した人や死者含む)の総数と同等の人数です。新型コロナウィルスは感染者の97%が回復していますが、エイズ流行では、これまでに感染した7600万人のうち、すでに3300万人が亡くなっています。
  • 難民問題はどうでしょうか。現在、コロナ感染者の2倍を超える8000万人の人たちが、紛争や迫害で住む場所を追いやられ、難民として暮らしています。この人たちに、「ステイホーム」する「ホーム」はありません。
  • 環境問題においては、2018年、コロナ感染者数を遥かに超える6000万人が異常気象により被災しました。その多くが気候変動の影響です。この年の自然災害による死者数は、地震・津波を除くと、日本はインドに次いで世界2位でした。そう、日本は実は気候変動脆弱国なのです。

出典:Climate Aaction Australia

世界はコロナより遥か前から非常事態

Earth Companyが支援する東ティモール(アジア最貧困の国)のチェンジメーカーベラ・ガルヨスによると、多くの地元民は、このパンデミックに関して恐怖心は持っているものの、それ以前に飢餓や栄養失調で亡くなる可能性が高い人がたくさんいることが最大の懸念なのだそうです。食糧の多くを輸入に頼るこの国は、ロックダウンにより食糧危機がさらに悪化してしまいました。

「ステイホームできるだけ恵まれてる」。そう言うのは、同じく私たちが支援するミャンマーのイスラム系少数民族であるロヒンギャ出身のチェンジメーカーウェイウェイ・ヌー。ロヒンギャ族は、2017年のビルマ軍による迫害により数週間の間に約70万人が隣国バングラデシュに着の身着のまま逃れ、難民と化した民族。彼らに「ステイホーム」する家はないのです。衛生状態の悪い難民キャンプでは、国際支援により石鹸が配布されても、手を洗う水がありません。

途上国では以前からこうした非常事態であふれていたのに、なぜ今回初めて世界中で非常事態宣言が発令されたのか。それは、「非常事態」に襲われたのが先進国中心だったからではないでしょうか。

ターニングポイント:求められるポストコロナのあり方

今世界では、新型コロナの第二波、第三波を起こさないための「ニューノーマル」が各地で導入されています。でも、上述の通り、「非常事態」はこの感染症だけではありません。では、世界の非常事態を食い止めるための「ニューノーマル」は何なのでしょう?

今あるのは、

環境を犠牲にしなければ発展できない成長モデル。
途上国から搾取しなければ発展できない先進国の経済モデル。
強者にのみ生きやすい、弱者が取り残される社会モデル。

ポストコロナは、何かが発展する一方で犠牲や課題を生み出すのではなく、「私たち」の概念を「私たち=日本人」から「私たち=地球・世界の人々」に広げて、「地球に存在する全ての生き物の包括的なウェルビーイング」を追求するあり方にシフトしなければ、世界のみならず日本においても、次世代につなぐ未来はありません。

今こそ、社会の課題を解決する仕組み、そもそも課題を生み出さない社会、さらには人と自然と経済それぞれの存在・発展が相乗効果をもってそれぞれのさらなる成長に寄与する循環型の社会のあり方が必要とされています。

そのような新しいあり方へのシフトには、少なくとも以下6つの要素を同時に促していくことが必要です。

  1. ソーシャル 社会課題に意識をむけ行動を起こすこと。
  2. エコロジカル 人と自然が調和すること。
  3. エシカル 人や地球環境、社会、地域に配慮し、「搾取」をしない行動や消費活動。
  4. サーキュラー 資源を有効活用・再利用し、再生産できるだけの資源を、持続可能な形で循環させる社会であること。
  5. ダイバーシティ 個性や違いを排除するのでなく、人間の多様性を尊重し、全ての人間・人種の人権が守られる社会であること。
  6. 共生・協働 「個」の利益でなく、誰一人取り残さない社会に向けて、みんなでアクションを起こすこと。

これらが実現された社会の新しいあり方をEarth Companyは「Earthly(アースリー)なあり方」と呼んでいますが、今月10月を「Earthly October」と称して、「Earthly」なあり方をみんなで一緒に実践してみる企画を1ヶ月を通して行ってきました。一部のコンテンツは無料公開されていますので、「Earthlyなあり方」にご関心のある方は、ぜひ「キャンペーンサイト」を覗いて見てください。