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【地球をつまみ食い】完熟マンゴー×もち米 タイで出会った「甘いごはん」の誘惑

地球をつまみ食い 更新日: 公開日:
「パーレック・パーヤイ」のカオニャオ・マムアン。カスタード(右上)と揚げ魚のチップをトッピングできる=4日、バンコク、翁長忠雄撮影
「パーレック・パーヤイ」のカオニャオ・マムアン。カスタード(右上)と揚げ魚のチップをトッピングできる=バンコク、翁長忠雄撮影

「えっ、ご飯にマンゴー?」と驚くことなかれ。これが意外とハマる、タイの国民的スイーツ「カオニャオ・マムアン」。甘じょっぱいもち米と完熟マンゴーの奇跡の出会いに、記者が現地の老舗で直撃!「旬」の時期しか店を開かないという、こだわり満載の絶品デザートの正体とは…。

この記事は、朝日新聞(デジタル版)の連載「地球を食べる」で2022年2月13日に配信された記事を再構成してお届けしています。本編記事はこちらから

カオニャオ・マムアンのポイント3つ

  1.  タイ語で「カオニャオ」はもち米、「マムアン」はマンゴー。一見すると驚きの組み合わせだが、アユタヤ朝時代(14~18世紀)にはあり、タイやラオスでは超定番のおやつ
  2.  蒸したもち米に、特製ココナツミルクをかけて食べる。完熟マンゴーの甘みともち米の食感が口の中で溶け合い、しつこくない甘さが胃にやさしい
  3.  今回訪れた老舗は、もち米とマンゴーが美味しい5カ月間だけの限定営業。旬の素材にこだわるからこそ、地元客がキロ単位で爆買いする人気ぶり

もっと知りたい

1, 記者の「あわやナンプラー」事件

ホテルで出された謎のメニュー。「果物とご飯って合うの?」と思いつつ、あやうく唐辛子入りのナンプラーをかけそうになった。見た目に戸惑いながらひとさじ食べて、デザートだと判明。もち米とマンゴーが口の中で溶け合い、のどごしもいい。しつこくない甘さが胃にも優しく染み渡り、タイ赴任最初の感動体験となった

2,  創業80年以上!家族で守る老舗の味

バンコクの中華街近くにある名店「パーレック・パーヤイ」。創業1940年、看板には創業者の娘である姉妹(レックおばさんとヤイおばさん)のイラストが描かれている。元々は近所へのお裾分けから評判になり、店を構えることになった。現在は3代目のスムスィさんが、家族と共に伝統の味を守り続けている

3, 「旬」へのこだわりと企業秘密のレシピ

店を開けるのは、1年のうちもち米とマンゴーが収穫できる時期に合わせた5ヶ月間だけ。新米の状態を見て水に浸す時間を調整し、竹かごで蒸し上げるこだわりようだ。ココナツミルクの砂糖と塩の配分は「企業秘密」。マンゴーは糖度の高い「ナムドクマイ種」を使用し、最高の味を安定して提供している

4, 人気の理由

コロナ禍の前は1日400kg(20kg箱×20)ものマンゴーが売れたという人気店。中国や欧米、日本の観光客にも人気だった。今も客足は絶えず、常連客は職場への土産に3.5キロも購入するほど。この店一本で子供3人をオーストラリア留学させた実績が、その味の確かさを証明している。「家族の味を守りたい」と外国に支店を出す誘いも断り続けている

記者の食レポ

カスタードや揚げ魚チップのトッピングも可能です。最近の派手な「映えスイーツ」とは違いますが、実力は本物。口の中で溶け合う食感と味わいは格別で、思わず「うーん、うまい!」と唸るはず。タイの庶民に愛され続ける理由がわかる一皿でした。