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女性のセックスライフが閉経後に衰える理由 原因の一端はパートナーにあり

ニューヨークタイムズ 世界の話題
ILLUSTRATION - A young couple lies in bed in Berlin, Germany, 22 January 2018. Photo by: Christophe Gateau/picture-alliance/dpa/AP Images
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多くの女性にとって、閉経後のセックスは以前ほどの満足が得られない。だが、それは閉経だけが原因なのだろうか。

新しい研究は、閉経に伴うホルモンの変化は女性のセックスライフ(性生活)が年齢とともに減退する理由の一部でしかないことを示している。確かに、多くの女性は閉経後に膣(ちつ)の乾きや性交の痛み、性欲喪失などの症状を経験する。そうした症状はいずれもセックスの頻度やよろこびに影響する可能性がある。

しかし、新しい研究によると、多くの女性がセックスを望まなくなったり、楽しめなくなったり、セックスそのものをしたくなくなったりする理由はこれまで考えられていたよりはるかに複雑であることを示している。性的な関係が衰えると、従来は女性が非難されてきたが、今回の研究だと、女性が性的に活発でセックスライフに満足しているかどうかを左右するのは、多くの場合、パートナーの健康状態によることがわかった(多くの研究は異性愛者の女性に全面的な焦点を当てており、閉経後の同性カップルについてはあまり知られていない)。

「更年期が性欲や膣の乾き、性交時の痛みに悪影響があるらしいことはわかっている」と医師のステファニー・フービョンは言う。米ミネソタ州ロチェスターにある「女性の健康のためのメイヨークリニックセンター(MCCWH)」の所長だ。「でも、一貫して判明していることはパートナーの役割が大きいということ。パートナーが相手をしてくれるかどうかということだけでなく、身体的に健康かどうかという問題でもある」

医学誌「Menopause(閉経)」に掲載された今回の最新研究は、英国での卵巣がんの検診に参加した女性2万4千人以上の調査をもとにしたものである。女性たちは50歳から74歳で、検診の最初にセックスライフについて多肢選択式の質問に答えた。この調査データがユニークな点は、約4500人の女性がコメントを書き込んだことであり、それは研究者にとって女性のセックスライフに関する新たな洞察に役立つ資料になった。

調査対象になった女性の78%は親密な関係にあるパートナーがいると答えたが、活発なセックスライフを送っているとした女性は半分以下(49.2%)だった。なぜセックスしなくなったのかについての記述で、痛みや悲しみが背景にあることが明かされた。

パートナーと死別あるいは離婚したというのが主な理由で、37%がそう答えていた(セックスしていない女性は、その理由を複数回答しているため合計が100%を超える)。

「夫がいなくなって17年間になる。彼は私の子ども時代からの恋人だった。彼に代わる人は誰もいない」(72歳)

生活していくことにいろいろな問題があって、セックスの時間を持てないという女性たちもいた――8%はパートナーが疲れすぎているためと答え、9%は女性の方もまた疲れすぎだからと回答している。

「私の人生における役割は、今は12歳の息子を育てること。だから(性的な)関係は二の次だ」(50歳)。「現在、年老いた両親のめんどうをみている。余力がないことと両親の心配で、セックスが減退した」(53歳)。「夫は仕事に忙しく、私も2人の子どものことで忙しい。1日の終わりに、2人ともベッドに倒れ込むだけ」(50歳)

夫が深刻な健康問題を抱えているということが、もう一つのよく見受けられる問題だった。4人に1人(23%)の女性は、パートナーに身体的な問題があるためセックスをしていないと答え、11%の女性は自分自身の身体的な問題が原因だとしている。

「(前立腺の手術と糖尿病の後の)夫に十分な勃起が続かない。彼の健康問題で私の性的活動に支障が生じている」(59歳)。「私の夫は脳卒中でまひが残った。セックスすることが難しい。私は介護人であり仲間として、彼と共に過ごしている」(52歳)。「夫は心臓発作を起こし、薬の副作用でセックスするのが困難になった。私たち2人にとって悲しい」(62歳)

セックス減退の理由について、精神の健康問題やアルコール中毒を挙げた人もいる。

「彼はウイスキーを1日1本ないし1本半飲む。セックスは年に1回か2回だけ」(56歳)。「夫は不安やうつ症状に苦しんでいる。それが私たちの(性的な)関係や私の睡眠に影響を与えている」(53歳)。「私は抗うつ剤を服用していて、それが性欲を鈍らせている」(59歳)

女性の約30%は「興味がない」ためにセックスライフが止まったと言っている。

「まったく興味を失ってしまい、罪悪感があり、それを言葉にするのを一切避けている」(53歳)。「更年期障害のさまざまな症状が私の性欲に影響を及ぼしている。最近まであった欲求が失せてしまい、がっかりしている」(58歳)。「私にはアレが不快で、時には痛みを感じるようになった。潤滑剤を使うけど、あまり役に立たない。だから、このところセックスをしていない」(54歳)。「私はパートナーをとても愛しているので、この問題に悩まされている。でも、もし(セックスの)パートナーがいなかったら、そのことに寂しさは感じなかっただろう。したくないのに欲情するのは難しい。以前のようにできないのが悲しい。彼はよく理解してくれている」(54歳)

そして、21%の女性は、パートナーの方がセックスに関心を失ったと答えている。

「年にたった2回ぐらい。私のパートナーは性欲がなくなってしまい、セックスする考えもない。でも、私のことを愛してくれ、ソレについて心配してくれている」(60歳)

書き込まれていたコメントはほとんどがセックスに関する悩みだったが、もっと希望に満ちたメッセージもあった。

「1年前から新しいパートナーができた。私のセックスライフはかつてないほど良くなったし、実際に回数も多い。それが、おおいに私の幸せや満足感、健康につながっている」(59歳)。「セックスの回数は若かった時より少ない。私たち2人は疲れてしまうけど、ソレをする時はグッドだ」(64歳)

データやコメントを分析したのは、英ブライトン・サセックス医科大学の研究員ヘレナ・ハーダーたちだ。ハーダーによると、書き込まれたコメントから、医師は女性(患者)たちとセックスについてもっと頻繁に話し合う必要があることがうかがえる。

「女性たちは状態が変わったことを残念に思っていると言っている。今の状態とは違っていたことを願っているのだ」とハーダー。「だけど、一般的に言って、そうしたことは話題にならない。患者たちは、セックスについて話し合ったり質問したりしてもいいのだという安心感を求めている。そうすれば、おそらく、変化に向けた良い一歩になる」

北米閉経学会(NAMS)の医長でもある(先述の)ステファニー・フービョンは、膣の乾きや性交時の痛みに対処する女性用の治療法があることを指摘する。加えて、女性の性欲増進に役立つ薬剤2点が認可されている。一つは錠剤で、もう一つは今秋には入手できるようになるはずの注射が可能な薬だ。ただし、いずれも薬価や使用時の制限、副作用などの問題があるので、だれでも使える薬剤ではないと彼女は言っている。

より良い選択肢は、女性やカップルを教育すること。セックスセラピスト(性問題療法士)との協働は、女性の不安や性欲低下といったことへの対処に役立つだろう。女性の本能的な性欲は薄れるかもしれないが、前もってセックスの用意をすることができるし、愛情表現に気持ちを向ければ性欲が戻ってくる可能性がある。セラピストは、そうしたことを女性に教える手助けができる。(抄訳)

(Tara Parker-Pope)©2019 The New York Times

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