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デンマークでは「デニッシュ」とは呼ばれない、このパン

One Meal, One Story 一食一会
店頭に並んだデニッシュ=2018年11月、コペンハーゲン、高橋友佳理撮影
店頭に並んだデニッシュ=2018年11月、コペンハーゲン、高橋友佳理撮影

欧州屈指の繁華街、ストロイエの先にある店舗に入るとたくさんの客がいて、番号札を取り注文を待っていた。

私も札を取り、シナモンが折り込まれ渦巻き状の「カニールスナイル」と、けしの実がまぶされた「ティビアキス」を注文。店内のカフェスペースで早速頂く。サクサクの食感の後にバターの風味と甘さが広がり、幸福感に満たされた。店のマネジャーに聞くと石窯で一度に200個のデニッシュを焼き上げているという。

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デニッシュと「ラウケーエフーセト」の店員=2018年11月、コペンハーゲン、高橋友佳理撮影

■パン職人のストで渡来?

しかしこのパン、デンマークでは「デニッシュ」とは呼ばれていない。名前は「ヴィーナブレズ」。ウィーンのパンという意味だ。デンマーク語の翻訳・通訳や講師を務める鈴木雅子さん(44)によると、19世紀半ばにコペンハーゲンのパン職人がストライキを起こし、その際にオーストリアからパン職人が渡来し、それまでなかったパン生地、ペイストリーを紹介したと言われている。

さらにたどると、トルコのお菓子バクラヴァが、バルカン半島を通り交易地であるウィーンに伝わった、との説もある。真相は分からないが、バクラヴァは生地を何層にも重ねて焼くお菓子。デニッシュと関係があると聞くと、納得する。

デンマーク人の認識はどうなのだろう。別の小さめの店舗に行くと、マネジャーのマウヌス・ロクケーアさん(21)は「トルコのことは聞いたことがないよ」という。店では16種類ものデニッシュを提供し、1日500個から、週末には多いときで千個近く売れる。「今はデンマーク人にとってなくてはならないもの。デンマークのパンですよ」