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台北で食す伝統の「胡椒餅」 二つの食感を楽しむ

One Meal, One Story 一食一会 更新日: 公開日:
台湾の胡椒餅

アメリカを感じさせるハンバーガー、信州名物おやき、中国の包子(パオズ)……。小麦粉や米粉などの粉を練って作った生地に、肉や野菜といった具を挟んだり、包んだりした料理は、洋の東西を問わず見かける。小腹がすいたときにもってこいのファストフードだ。

食の宝庫・台湾で、生地に具を挟み、包んだ料理はバラエティーに富む。代表格の一つが「胡椒餅」。台北市内には専門店もあり、台北駅から歩いて5分ほどの交差点角にある「福州世祖胡椒餅」重慶店は人気店の一つだ。地元のみならず、日本や中国大陸からの観光客らも次々と買い求め、客足は絶えない。

具は黒や白など3種類の胡椒や十数種の香辛料を混ぜたぶつ切りの豚肉と長ネギ。肉は脂っぽい部分が3割で、これを小麦粉を練った生地の上に置く。残り7割が豚の後ろ脚から取ったという脂っぽくない肉で、生地を手で丸めるとき、この肉が具の真ん中に来るように入れるのがポイントらしい。

ルーツは中国大陸?

ごまを振りかけ、店頭にある窯の内部に一つひとつ貼り付け、200~300度の炭火で約15分焼く。メロンパンのような形をしており、底の直径は10cm程度。

焼きたてにかぶりつくと、生地表面の食感は焼き「餅」とはほど遠く、パリパリッとやや固めのパンのようで香ばしい。一方、内側はもっちりしている。かめば肉汁があふれ出し、舌がやけどしそうなくらい熱い。

店長の王建茂さん(50)は「外はサクサク、中はスープのようなジューシーさ。火のコントロールが難しく、弱すぎると生地が軟らかくなり、サクサクの食感がなくなります」と話す。その名の通り胡椒がじわりと利き、思ったより辛い。

窯の中で焼かれる胡椒餅

1個50台湾ドル(約180円)。毎日700~800個ほど作り、必ず売り切れるという。「リピーターのお客さんもいて、顔見知りになります」と王さん。市内の夜市にある店が「本店」で、重慶店は支店の一つ。福州世祖胡椒餅は盛況にもかかわらず、味のレベルを保つため、市内に数店しか展開していない。王さんも修業を積み、重慶店で働くようになった。

胡椒餅は中国・福建省からの移民が持ち込んだ「葱肉餅」が変化したともいわれる。日本でも、包子が中華まんとして発展したように、展開していくことを期待したい。