【1分でわかる】医療予算の半分が災害復旧に消える? 知っておきたい、島国バヌアツの苦悩
この記事は、朝日新聞 withPlanet で2026年3月27日に配信された記事を再構成してお届けします。本編はこちらから
1. 島々が点在するため医療アクセスが悪く、重篤な患者の搬送や医薬品の配達が困難
2. サイクロンなどの自然災害が多く、復旧に予算の半分が奪われるため、医療や公衆衛生に資金が回せない
3. 日本には資金援助だけでなく、医療人材の実践的な育成も期待
1, 自然災害が医療予算を圧迫する現実
バヌアツはサイクロンの発生域にあり、毎年甚大なインフラ被害に見舞われます。バヌアツ保健省のポシィカイ・サミュエル・タポ保健局長は「(医療分野の)予算の半分は災害によるインフラ被害の修復に回されてしまいます」と深刻な現状を語っています。本来なら医薬品の購入や病気の予防、公衆衛生の啓発に資金を充てたいのに、災害復旧に予算を奪われてしまうのが、災害多発国ならではの大きな悩みとなっています。
2, 災害や海面上昇 → 生活習慣病も
自然災害の影響は建物の損壊だけではありません。サイクロンや海面上昇、塩害などによって地元の野菜などの作物がたびたび被害を受けます。そうなると、人々は輸入された加工食品に依存せざるを得なくなります。これが原因で肥満や高血圧、糖尿病といった「非感染性疾患(NCD)」が増加していると、タポ局長は指摘します 。気候変動や災害が、回り回って人々の食生活を変化させ、健康被害を生み出しているのです。
3, 日本には、人材育成への支援も期待
バヌアツでは、日本が提供した救急車などの車両を目にすることもあります。医療機器の大半が日本から提供されているなど、重要なパートナーシップを築いてきました。バヌアツが今後期待しているのは、医師や検査技師がバヌアツ国内で実践的な研修を受けられる機会の創出。タポ局長は「金銭が全てではないのです。技術支援、人材育成、交換プログラムなど、実践しながら学ぶことも非常に大切です」と語りました。
バヌアツには80あまりの島々がありますが、中には船でしか行けない島や道路の整備が進んでいない場所もあります。もしそうした地域で、手足を切断するような大けがをした場合、設備の整った国立病院へ搬送しなければなりませんが、アクセスは簡単ではありません。そのため、2030年末までに、人口1万人あたりの医療従事者の数を現在の26人から35人に増やし、医療へのアクセスを改善させることを目指しているそうです。