【1分でわかる】米国が「正義の砦」に制裁? 同盟国と国際法の板挟みで沈黙する日本のモヤモヤ
この記事は、with Planetで、2025年11月19日に配信された記事を再構成してお届けします。本編はこちらから
1. ICCがイスラエル首相らに逮捕状を出したことで、米トランプ政権が猛反発
2. 米国は自国や同盟国を守るため、ICC関係者に次々と厳しい制裁を発動
3. 日本はICCの主要国で日本人の所長もいるのに、米国への表だった批判には及び腰
4. 世界の「正義の最後の砦」を守るため、日本にも毅然とした行動が求められている
1, ICCとアメリカが対立したきっかけ
オランダにある国際刑事裁判所(ICC)は、戦争犯罪や虐殺、人道に対する罪などを裁くための機関です。事の発端は2024年11月、ICCがイスラエルのネタニヤフ首相らに戦争犯罪などの疑いで逮捕状を出したことです。これに対し、同国と緊密な同盟関係にある米国のトランプ政権は猛反発。自国や同盟国の関係者が裁かれるのを防ぐため、2025年にかけてICCの検察官や裁判官、人権団体などに資産凍結や入国禁止といった制裁を次々と発動しました。米国はICCを「安全保障上の脅威」と批判しており、これらの制裁はICCの活動そのものを麻痺させる危険性があります。
2, 及び腰な日本政府の対応
日本は2007年に加盟して以来、ICCを強く支持してきました。現在の所長である赤根智子氏をはじめ、これまで3人の裁判官を輩出している主要国です。しかし、今回の米国の制裁に対して日本政府は表立った批判を避けています。多くの加盟国が共同でアメリカの制裁を批判する声明を出しているにもかかわらず、日本は参加していません。過去にロシアがICC関係者に逮捕状を出した時は強く非難したのに、アメリカには及び腰な姿勢が目立っているのが現状です。
3, 国会からも上がる「もっと行動を」の声
こうした政府の姿勢に対し、日本の議員からも疑問の声が上がっています。国会内で開かれたイベントでは、「国際社会において日本が赤根智子裁判長を輩出している非常に重要な責任ある立場として、どのような対応をするかということに、国際的な我々への信頼がかかっている」という声や、「引き続き日本として毅然とした対応をするよう求めていきたい」といった意見が出ました。与党と野党、両方の議員からです。深刻な人権侵害を止めるためにも、ICCの役割は重要だという認識が広がり始めています。
4, 日本に求められるこれからの役割
専門家は、日本政府はあらゆる機会を使ってICCへの支持を表明し、米国による制裁を可能にしている大統領令を取り消すようトランプ大統領に公に求めるべきだと指摘しています。また、ICCが活動を継続できるよう早急な予算の確保や、職員を守るための具体的な行動も必要です。さらに、EUに対して米国の制裁を防ぐための規則(ブロッキング法)の発動を促すことも求められます。あらゆる人権侵害の被害者の正義を実現するため、日本は世界とともに法の正義のために立ち上がるべきだと訴えています。
ICCは、国連加盟国の約3分の2にあたる125カ国が参加し、戦争犯罪や人道に対する罪などを犯した各国の高官などの「個人」を裁く常設の国際裁判所です。各国が自分の国で適切に裁判を行えない、あるいは行う意思がない場合に介入する「最後の砦」として、現在はウクライナやパレスチナなどの状況について捜査しています。もし米国の制裁によってICCが機能しなくなれば、第2次世界大戦以降、人類が築き上げてきた「法の正義」そのものが揺らぐ危機なのです。