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韓国で酔ったらこれを飲む 半世紀守り続ける優しいスープ

One Meal, One Story 一食一会 更新日: 公開日:
韓国の干しダラのスープ「プゴグッ」=ソウル、宋光祐撮影

今回、私はソウル市庁の裏手にある店、武橋洞プゴグッチプを訪ねた。提供するのは、「プゴグッ」という干しダラのスープだけで、1968年から半世紀続くヘジャングッの老舗だ。

ちなみに、この店を探したのは、辛くない韓国料理を食べたくなったことがきっかけだ。私も在日コリアン3世で、子どもの頃、母親がつくった干しダラのスープを食べた記憶がある。唐辛子は使わず、しょうゆをベースにした味付けだった。酒ではなく旅に疲れたおなかが優しい味を求め、帰国直前の昼に訪ねた。

一品メニュー、守るために変化

テーブルに座ると注文せずともスープが運ばれてくる。牛骨や野菜、干しダラを計11時間煮た白濁スープは脂が取り除かれ、あっさり味。干しダラの塩加減が絶妙で、ふんわり浮かんだ溶き卵や細く切った豆腐もやわらかくておいしい。

一緒に出されるキムチやエビの塩辛など付け合わせのおかずも手作りで、消化に良い発酵食品だけを使っている。おかずを入れれば、スープの味付けを自分好みに変えることもできる。おかわり自由で7500ウォン(約740円)と懐にも優しい。

メニューは50年間ひとつだけで変わらないが、弟と一緒に父親から店を継いだ陳光珍さん(50)は「味を守るために、環境に合わせて自分たちも変化している」と話す。

自らも厨房に立つ陳光珍さん=ソウル、宋光祐撮影

料理で言うと、父親が経営していた頃には近海で採れていたタラが遠洋漁業になり、魚の味が淡泊になったため、同じコクを出すためタラの骨や頭も煮込むようになった。

今では、客の大半はお酒を飲み終えた人ではなく出勤前に朝ごはんを食べに来る人だという。「これからは食事として食べに来る人たちの好みに合わせてコンセプトを考えたい」と陳さん。この先も味を守り続けるために、客からは見えないところで悩みながら変化を試すつもりでいる。