――福士さんは現役高校生。今年デビューしたばかりなんですね。
はい、高校3年生です。1月にドラマ「美咲ナンバーワン!!」でデビューしました。仮面ライダーフォーゼへの出演が決まったのがこの5月。去年の今ごろはちょうど事務所に所属したころで、1年後に、自分が仮面ライダーをやっているなんて思ってもいませんでした。まさか変身しちゃうなんて。
――ヒーローになるって、どんな気持ちですか。
ロケ先に子どもたちがいっぱいいて、「弦太朗!」「げんちゃーん」なんていわれると、すごいうれしくて。
手を振り返すと、わーって声を上げてくれて。そういうのを見たりすると、うれしいです。放送が始まると、友達からも連絡がきました。子どものころ仮面ライダーを見ていた人には、「新しいね」「面白い要素があるね」っていってもらいました。
――ご本人は「仮面ライダーを見たことがない」という発言が話題になりましたが、事実ですか。
そうですね、小さいころ見ていなくて。出演が決まってから、前作の「仮面ライダーオーズ」や「仮面ライダーW(ダブル)」などを見て、最近も「仮面ライダー電王」を見ました。
研究というより、純粋に面白いんです。以前は、仮面ライダーって闘いのイメージがとても強かったんです。でも、それ以外のドラマの部分もすごくよく描かれていて、面白いんです。
――如月弦太朗はどんなヒーローですか。
弦太朗は正義とか、ヒーローとか何も考えないで、自分の熱さや友達思いという部分だけで動いている人間。熱すぎる部分もあるんだけど、違う面から見たら、自分の身を削ってでも友達を守るという性格。彼自身がヒーローなんです。
弦太朗は、作品の中でどんどんヒーローということを自覚するようになって、みんなを守ることに気づいていく。弦太朗の成長と、演じている僕自身の成長がリンクしている感じがあります。
僕は、弦太朗が好きです、演じていてすごく楽しいです。弦太朗という役が板についてきたかなと感じています。
最初は、友達思いもわかるけど、そこまで熱いか?と、彼の行動が不思議だった。でも演じていく中で、弦太朗という人間がわかってきて、いまはその弦太朗ならもっとこういうことができるんじゃないか、こうしたら面白いんじゃないか、と考えられるようになってきました。
――ボンタンに短ランという外見もそうですが、弦太朗みたいな人は今の高校にいますか。
まずあの外見は見たことないです(笑)。僕の学校はブレザーなので、ボンタン、短ランというのはマンガや映画の架空の世界のことでした。
性格も、弦太朗のような人はそんなにいないです。誰とでも友達になるなんていっても、今だったら、「関係ないし」となってしまう。彼は昔の人のいいところをよみがえらせてくれる。昔は情に厚い人って多かったと思うんです。
――弦太朗はいまのところはカラ元気という印象だけど、それだけじゃなさそうですね。
そうですね、何かあるんだと思います。「全員と友達になる」とか、友達、友達っていってる裏にも何かあるんだと思うんですが…。まだ今後の展開はわからないです(笑)。
――フォーゼのデザインも話題です。どう思いました?
新しい!だいたい黒めの色に赤などが多いのに、白を基調に黒とかオレンジが入っていて、なんかすごい斬新で奇抜で。そのおかげで、フォーゼのかわいらしさが、かっこよさだけじゃない仮面ライダーが見せられるんじゃないかと思います。
びっくりしたところもありましたけど、歴代ライダーを見ていなかったから、特に違和感なく入れました(笑)。
フォーゼが動いているのを見ると、すごくかっこいい。フォーゼのスーツアクターである高岩成二さんは、自分よりもっと弦太朗らしいんです。俳優として、スーツアクターさんから学ぶこともたくさんあります。
――仮面ライダーって、どうして40年も続いてきたのだと思いますか。
難しいですね。子どもたちがもっている夢が、一番わかりやすく表現されているんじゃないでしょうか。子どもたちの中でヒーロー像が確立されて、目標としたい存在が形になると思うんです。
それと、助け合いといったことも描かれているから、親御さんも子どもに見せたいと思ってくれる。親も見せたいし、子どもも見たい番組。だから続いてきたんじゃないでしょうか。
――福士さんにとってのヒーローは誰ですか。
父です。ずっと小さいころから背中を見て育ってきて、すごく越えたい壁というか。なかなか越えられないものでもあり、でもいつかは勝負したい気持ちもあり。自分にとっての大切な存在。ヒーローです。
――どういうヒーローを演じたいと思いますか。
フォーゼはかっこよさあり、かわいさありというのがポイント。かっこよさはやっぱり追求したいですが、その中でかわいらしさというのも、少しずつ見ていただけたら。そういう仮面ライダーっていうのもまた新しくていいんじゃないかなと思います。
やはり何か裏に抱えたライダーが多いので、親しみやすさもある仮面ライダーをつくっていきたいです。
特撮番組、若手俳優の登竜門
2000年の「仮面ライダークウガ」で主役を演じたオダギリジョーが俳優としてブレークしたのを機に、特撮番組は若手俳優の登竜門と言われるようになった。「子ども番組」と軽んじられていたのは昔の話。いまや大手芸能事務所が競って秘蔵っ子を出演させている。
クウガ以降の「平成ライダー」では、佐藤健、水嶋ヒロ、賀集利樹らが主役を演じたほか、要潤がデビューしたこともあって女性ファンが増えた。
スーパー戦隊シリーズには玉山鉄二、永井大、照英、女性も、さとう珠緒、千葉麗子らが出演。ウルトラマンシリーズではV6の長野博、つるの剛士、杉浦太陽が主役を務めた。