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セネガルと「出会う」

世界どこでも住めば都、国連職員ニョコボク日記
フェイスペインティングをして、サッカーW杯セネガル代表の応援をする女性 ©Joanna Wieczorek
フェイスペインティングをして、サッカーW杯セネガル代表の応援をする女性 ©Joanna Wieczorek

皆さん、こんにちは。二回目のニョコボク日記は、タイムリーに明日のワールドカップで日本の対戦相手になるセネガルについて、お話ししましょう!

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サッカーW杯ロシア大会のセネガル代表を応援する人たち=ダカールで ©Joanna Wieczorek

普通に日本に生活していたら、アフリカに接点をもつことはほとんどないのではないかと思います。セネガルがどこにあって、どんな国なのか、イメージわきますか? 首都ダカールの名前が付いたモータースポーツ競技「パリ・ダカールラリー」(パリ・ダカ)は有名ですが、2009年から走行区間の一部だった隣国モーリタニアの治安が理由で、会場は南アメリカに移ってしまいましたし、昨年末にセネガルのサル大統領が訪日し安倍首相を訪問したり、日本の副外務大臣が来セネしたりと日本との外交関係はありますが、旅行で気軽に行ける距離ではないし、メディアに登場する回数もそんなに多くありませんので、知る機会がほとんどない、のが現実かもしれません。

私もここに来る二年前までは「セネガル? 西アフリカにあるよね」程度の理解でした。私の勤務するWFPの場合、正規職員の赴任地は25年毎に変わり、「自分の専門分野で、その国のこと熟知しているから呼ばれる」というよりは、「タイミング」と組織側の「この人の専門・能力で対応できるであろう」という判断で決まることが多いので(自分の希望も多少は考慮はされますが)、国のことをよく知るのは仕事を始めてから、ということも少なくありません。

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フィメラにて。内海にボートで繰り出し、大量のペリカンとバオバブの木を見ました。(野副美緒さん撮影)

私は東アフリカのスーダンやソマリアでも勤務していたので、アフリカに足掛け10年にわたりご縁があります。日本に帰国して`アフリカに住んでいる’と言う機会があると、「危険で大変ですね!」(いや、今の日本社会もなかなか危険では)、「アフリカ語しゃべれるんですか?」(アフリカも言語はいろいろです)、「まだ奴隷はいるんですか?」(!!)などさまざまな反応に出会うことがあります。多くの日本人は、アフリカのことをまだよく知らず、必ずしも正しくないイメージのまま「自分とは関係ないどっか遠くの国・地域」になっているのではないか、という印象を持っています。

でも、実際に暮らしてみると、アフリカ=危険、怖い、貧しいではない、「魅力的な」アフリカがいっぱいあるのです。魅力といっても、もちろん、野生動物やサファリだけでもありません。

例えば、セネガルには「テランガ」という日本でいうところの“おもてなし”という概念があり、外から来た人を「自分の家(国)にいるようにくつろいでもらおう」という考え方があります。家に呼ばれると、着替えまで準備してくれたり、まるで家族のメンバーのように世話をやいてくれます。

「ルッツ」という相撲にそっくりなスポーツがあり、ローカル料理の「チェブジェン」はいわゆる炊き込みご飯で、日本人の口にも合うお味です。日本から遠く離れた場所で、日本に似たところを見つけて、驚いたり、嬉しい気持ちになることも多いのです。

また、人間関係が近くて濃厚。悪気も邪気もない本当に「人懐っこくて笑顔が素敵な」人がたくさんいることや、子どもを社会全体で育てるようとする文化や砂漠も海もある豊かな自然環境があり、たわわになるマンゴーやバオバブの実も海でとれるウニも牡蠣もおいしく食べられることも、セネガルの大きな魅力だと思います。

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1昨年のタバスキ(犠牲祭)、床に布を敷いて大皿を上に置き、みんなで座ってシェアして食べるのがセネガルスタイル(野副美緒さん提供)

セネガルは西アフリカの一番端にあり、国の経済規模を説明するのによく使われる国連開発計画(UNDP)の人間開発指数では、188国中162位で、「低所得国」のカテゴリーに入ります。でも、西アフリカの中では経済共同体の主要メンバーであり、治安も悪くなく(夜一人で歩いている女性も見かけるくらい)、病院や学校、買い物するところもそろっていますので、都心に住んで生活していると「発展途上国」の実感はほとんどありません。

シエラレオネで仕事をしている日本人の友人曰く「ダカールは天国だよ」とのこと。首都ダカールと地方とで、また生活の水準はずいぶん違いますが、日本の約半分の面積で、人口1660万の、小さくも勢いのある国です。ちなみにこの1660万、調べてみると「日本の65歳以上男性の人口」とほぼ同じでした。

確かに、いつも行かない市場だと相場の倍でふっかけられるとか、車を一年で3回もぶつけられたり、右からも左からも追い越されるとか、今日の3時にくるといった水道管の修理する人が今日もこなかったとかインターネットが週末つながりにくいとか(…以下略)等、細かいマイナスポイントはいろいろありますが、とても住みやすい国です。

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セネガル相撲「ルッツ」@Shota Harada

私のその前の赴任地は内戦が始まってしまったり、拉致の危険があって緊急避難したり、地下鉄で爆発事故があったり、な場所が多かったので、自分の「住みやすい基準」がかなり低いのかもしれませんが。

コラムのタイトルにも思いを込めたように、「縁」があって呼ばれるところは、世界のどこでも、思いのほか楽しく住めてしまうものなのです。大切なのは、出会った縁を大きく育てるために、心をオープンにすること、思い通りにいかないことがあっても、「これだから〇〇は!」と乱暴に敵(国でも人でも)認定して怒りで対応しないことです。

自分の価値観で測ると世の中には不可解なことが多いですが、理解するのが難しくても「ふむふむ君はそう出るのか」と多様な価値観を「楽しむ」余裕と、しなやかさをもつこと、そして本やネットでも、仕事でも、何かのきっかけで「つながりができた」国や人との出会いを丁寧に積み重ねていくと、今まで「どっかの国」だったところが、自分の足を踏み下ろす「自分の世界」につながってきます。今回のワールドカップをきっかけにセネガルに興味を持ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思っています。

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サッカーW杯ロシア大会で、セネガル対ポーランド戦を観戦するパブリックビューイングの様子=ダカールで ©Joanna Wieczorek

今回のワールドカップで対戦するセネガルの陽気で身体能力の高い「チーム・ライオン」と、我らが侍ブルー。ともに第一戦にしっかり勝利して勢いに乗っているチーム同士。どんな戦いが繰り広げられるのか、今からとても楽しみです。

今週は至るところで「セネガルと日本のどちらを応援するか?」聞かれますが、もちろん日本を応援します!それでも、どっちに点が入っても立ち上がって喜んでしまいそうですが、接戦でデッドヒートして最終的に日本が勝利!というシナリオを期待したいところです。ちなみに、私の個人的な注目選手は背番号10番の俊足“サディオ・マネ”です。ではまた再来週!