「砂は戦略的資源」と国連 採掘は毎年470億~590億トンと試算 生物多様性にも影響
国連環境計画(UNEP)が2014年に発表したレポートによると、世界では毎年470億~590億トンの砂が採掘され、そのうち骨材に使われるものが68~85%を占めるという。
ただし、採掘に関する信頼できるデータは一部の先進国にしかなく、世界的な骨材の使用量を推定するには、コンクリート用セメントの生産量を指標にする。
セメント生産量は150カ国で報告されており、12年には37億トンだった。ここから、世界全体でのコンクリート用骨材の使用量を、12年の1年間で259億~296億トンと推定。「これは赤道周囲に高さ27メートル、幅27メートルの壁を築くのに十分なコンクリートになる量」という。
さらに埋め立て造成や道路の建設などにも骨材を使うため、「控えめに見ても世界の骨材使用量は年400億トンを超える」とみる。その後も使用量は増え続け、22年のレポートでは500億トンと見積もっている。
背景にあるのは、都市への人口集中だ。国連は50年までに世界人口の68%が、都市に住むようになると予測。人口が増えて都市が拡大し、インフラが整備されるにつれてコンクリート、そして砂の需要がますます高まるとみる。
大規模な砂の使用例に、ドバイの超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」(約830メートル)が挙げられている。この建設には33万立方メートルのコンクリートを要したとされ、砂はオーストラリアから輸入したという。
シンガポールは過去40年で国土面積を20%以上拡大(130平方キロの増加)させ、その大半は海に造成した埋め立て地だ。過去20年間で約5億1700万トンの砂を輸入したという。輸出国は主にインドネシアで、砂の輸出で20以上の砂島が消滅したとみられている。
膨大な砂の採掘は環境に大きな負荷をかけている。UNEPの地球資源情報データベース(GRID)所長のパスカル・ペドゥッツィはメールでの取材に、砂の役割について、「自然環境の中にある砂は、水の濾過や、河川を流れる水量の調節に役立ち、海面上昇による侵食や高潮から海岸を保護している。沿岸域の帯水層の塩害を防ぐためにも不可欠だ」。
さらに「砂は多くの動植物にとって重要な生息地でもある。河川、湖沼、海岸、海底から砂を採取することは、生物多様性や生態系に重大な影響を及ぼすだけでなく、漁業や水の供給、観光業といった分野にも深刻な影響を与える」と指摘した。
UNEPは22年、砂についての提言を発表している。砂は「戦略的資源」であり、違法な採掘を防ぐためにも、マッピングやモニタリングを強化し、国際的枠組みをつくる必要があると訴えた。採掘で傷ついた生態系を回復し、砂のリサイクルや代替材への転換も促していくべきだとしている。