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【地球をつまみ食い】瀋陽名物・鶏がら丼に元浮浪児が込めた思い「安くおいしく」

地球をつまみ食い 更新日: 公開日:
店主の王開亮さんが生んだ「鶏がら丼」。甘辛のたれがしみこんだ鶏がらには、「がら」とは思えないほどの厚い肉がついている
店主の王開亮さんが生んだ「鶏がら丼」。甘辛のたれがしみこんだ鶏がらには、「がら」とは思えないほどの厚い肉がついている=2021年10月26日、中国瀋陽市、平井良和撮影

中国東北部・瀋陽で働く人々の胃袋を支えてきたのは、高級食材ではない。日本ではスープ用に使われた後に捨てられることもある鶏がらを、主役にまで押し上げた「鶏がら丼」。その背景には、一人の料理人の壮絶な人生があった。

この記事は、朝日新聞(デジタル版)の連載「地球を食べる」で2021年11月21日に配信された記事を再構成してお届けしています。本編記事はこちらから

鶏がら丼のポイント4つ

  1.  瀋陽では鶏がら(鶏架・ジージア)を塩とトウガラシであえたり、炒めたりして残っている肉を食べる
  2.  建設現場で働く人や貧しい学生の「肉を食べたい」という気持ちを満たすため、食堂の定番メニューに
  3.  鶏がらを看板料理に掲げる店もあり、濃いたれで味付けした鶏がら丼は大人気のメニュー
  4.  鶏がら丼を生み出した料理人は、元浮浪児。「飢えた子どもたちがいなくなってほしい」という思いが原点に

もっと知りたい

1, 鶏がら食文化と瀋陽の発展

1990年代以降、安価に流通した鶏がらを工夫して食べる文化が広がった。労働者や学生にとって、鶏がら料理は貴重なたんぱく源でもあり、「鉄の街」として発展した瀋陽の活力でもあった

2, 名物店の鶏がら丼の味わい

「欣月賈記炒鶏架」の売りは鶏がら丼で、市民に愛される名物になっている。分厚い肉がついた骨もあり、歯で触れただけで肉がはがれ落ちる柔らかさ。甘辛のたれが肉とご飯に染みこんでいて、味も文句なしのおいしさ

3, 創始者の壮絶な歩み

店主の王開亮さんは、親の養育を受けられず街をさまよった経験を持つ。見知らぬ家の戸をたたいて歩き、施しを受けたことも。14歳の時に住み込みで旅館の料理を学ぶ機会を得て、「生きるため」に料理を始めた

4, まかないの工夫と秘めた思い

自身の店を持った際、修行の間にまかないで食べていた鶏がらを看板料理に。高級料理は作れないが、「安くておいしくて、おなかいっぱいになるものをつくりたい」という思いから、創意工夫を重ねていった。米や水にもこだわりがある

記者の食レポ

骨からほろりと外れる肉に、濃厚なたれのうまみが絡まり、止まらないおいしさ。わずか14元(当時のレートで約250円)とは思えない満足感だった。王さんの生い立ちを知ると、味わいはさらに深まった