【地球をつまみ食い】瀋陽名物・鶏がら丼に元浮浪児が込めた思い「安くおいしく」
地球をつまみ食い
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中国東北部・瀋陽で働く人々の胃袋を支えてきたのは、高級食材ではない。日本ではスープ用に使われた後に捨てられることもある鶏がらを、主役にまで押し上げた「鶏がら丼」。その背景には、一人の料理人の壮絶な人生があった。
この記事は、朝日新聞(デジタル版)の連載「地球を食べる」で2021年11月21日に配信された記事を再構成してお届けしています。本編記事はこちらから
1, 鶏がら食文化と瀋陽の発展
1990年代以降、安価に流通した鶏がらを工夫して食べる文化が広がった。労働者や学生にとって、鶏がら料理は貴重なたんぱく源でもあり、「鉄の街」として発展した瀋陽の活力でもあった
2, 名物店の鶏がら丼の味わい
「欣月賈記炒鶏架」の売りは鶏がら丼で、市民に愛される名物になっている。分厚い肉がついた骨もあり、歯で触れただけで肉がはがれ落ちる柔らかさ。甘辛のたれが肉とご飯に染みこんでいて、味も文句なしのおいしさ
3, 創始者の壮絶な歩み
店主の王開亮さんは、親の養育を受けられず街をさまよった経験を持つ。見知らぬ家の戸をたたいて歩き、施しを受けたことも。14歳の時に住み込みで旅館の料理を学ぶ機会を得て、「生きるため」に料理を始めた
4, まかないの工夫と秘めた思い
自身の店を持った際、修行の間にまかないで食べていた鶏がらを看板料理に。高級料理は作れないが、「安くておいしくて、おなかいっぱいになるものをつくりたい」という思いから、創意工夫を重ねていった。米や水にもこだわりがある
骨からほろりと外れる肉に、濃厚なたれのうまみが絡まり、止まらないおいしさ。わずか14元(当時のレートで約250円)とは思えない満足感だった。王さんの生い立ちを知ると、味わいはさらに深まった