【1分でわかる】良かれと思った「緩和」が逆効果に? 日本経済が泥沼にハマったわけ
この記事は、GLOBE+で、2024年7月26日に配信された記事を再構成してお届けします。本編はこちらから
1. 長期低迷の始まりは、バブル崩壊後の「不良債権処理」が遅すぎたこと
2. 「金融緩和」に長期的な成長を生む力はない
3. 長く続いた「低金利」が、逆に企業の成長力を奪った可能性
4. 国の借金増大による「将来不安」が、人々の消費や投資を冷え込ませた
1, バブル崩壊後の「15年」が痛かった
「失われた30年」のきっかけは、バブル崩壊後の対応の遅れにありました。小林教授によると、銀行が抱えた巨額の「不良債権」の処理を怖がって少しずつゆっくり進めた結果、完了までに15年もかかってしまったといいます。スウェーデンのように迅速に進めていれば、その後の展開は違ったはずです。この「処理の先送り」が成長に必要な人材や資金の循環を止め、長期停滞の土台を作ってしまいました。
2, 金融緩和は「魔法の杖」ではなかった
不景気脱出のため、日本銀行は金利をゼロに引き下げ、さらには世の中に出回るお金の量を桁違いに増やす「異次元緩和」まで行いました。しかし、小林教授は「金融緩和は一時的に需要を増やす効果はあるが、長期の経済成長率を変える力はない」と指摘します。実際、あらゆる緩和策を講じても物価はなかなか上がらず、中央銀行が人々の将来に対する期待をコントロールすることの難しさが浮き彫りになりました。
3, 低金利が逆に経済をダメにした?
驚くべきことに、景気回復のために続けた低金利が、実は経済の足を引っ張っていた可能性があります。最近の研究によると、低金利がずっと続くと、本来は倒産するはずの企業が生き残る一方で、トップ企業ばかりがお金を借りて技術開発を進め、市場の独占が起きます。すると、2番手以下の企業は勝てないと諦めて投資を控えるようになり、結果として経済全体の成長率が下がってしまうのです。
4, 将来への不安がお金を停滞させる
国の借金が増え続けることで、私たちは「年金や医療などの社会保障は将来も大丈夫だろうか」という漠然とした不安を抱えています。将来の大増税や社会保障の削減を恐れてお金をため込み、投資に回さなくなることで、結果として経済成長率が下がってしまいます。小林教授は「財政の持続性を保つ検討を進めなければなりません」と警鐘を鳴らしています。国の財政に対する信頼を取り戻さない限り、経済の好循環は生まれないのです。
「ゾンビ企業」と「市場独占」は興味深いポイントです。小林教授の指摘によると、低金利環境では、倒産するはずの企業が生き残る(ゾンビ化する)だけでなく、すでに強いトップ企業がさらに低コストで資金調達をして開発投資を加速させます。これによってトップ一強の「独占」が進み、追いつけない2番手以下の企業が投資をやめてしまう――。「金利が低い=良いこと」とは限らないという視点は、これからの経済ニュースを見る上でとても大切ですね。