【1分でわかる】「155ミリ」が戦局を握る ウクライナが直面する消耗戦のリアル
この記事は、朝日新聞(デジタル版)の連載「そもそも解説」で、2024年5月5日に配信された記事を再構成してお届けします。本編はこちらから
1. ウクライナの戦場では、砲弾による死傷者が全体の約8割を占める
2. 戦局を左右するのは「155ミリ砲弾」で、欧米各国がウクライナに供給している
3. ウクライナ防衛には月7.5万〜9万発、大規模攻勢には20万発以上が必要との分析も
4. 生産競争や非人道的な兵器の使用も問題に
1, 戦場を左右する砲弾の破壊力
ロシア軍とウクライナ軍は長い前線でにらみ合い、大砲による攻撃が戦局を左右しています。領土を守るにも奪い返すにも、大砲と砲弾が不可欠。欧米の専門家によると、死傷者の8割は砲弾によるものとされています。
2, 最も重要なのは「155ミリ砲弾」
「155ミリ砲弾」は欧米がウクライナに供給する主力の砲弾です。障害物を越えて広い範囲を攻撃でき、量産技術も確立されていてコストも比較的安いのが特徴。ウクライナは旧ソ連規格の砲弾も使ってきましたが、調達には限界がありました。
3, 要求数と供給数の大きなギャップ
ウクライナが防衛を続けるには月7万5000~9万発、大規模な攻勢には20万~25万発が必要とされています。米国は2022年以降200万発以上を供給しましたが、実際の戦場では一時期、1日あたり7000発から2000発に減少。戦況を好転させるには、さらに多くの砲弾が必要とされます。
4, 欧米の対応とクラスター弾の提供
欧米各国がウクライナのために砲弾の生産を増やそうとしても、設備投資や時間がかかります。アメリカは一時的にクラスター弾も提供しましたが、不発弾が民間人を傷つける恐れがあり、厳しい選択を迫られています。
「155ミリ砲弾」は、実は第1次世界大戦の塹壕(ざんごう)戦に対応するためにフランスが本格的に開発したのが始まりです。第2次大戦を経て、戦後に北大西洋条約機構(NATO)の標準規格となりました。ウクライナはもともと旧ソ連規格の152ミリ砲弾などを使っていましたが、主にロシアや中国で生産されているため調達に限界もあり、戦場の主流はNATO規格の155ミリに移行しているのが現状です 。