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【1分でわかる】「155ミリ」が戦局を握る ウクライナが直面する消耗戦のリアル

1分でわかる○○ 更新日: 公開日:
鉄鋼材が高温のうちに厚みなどを検査する従業員=2024年4月17日午前8時22分、米ペンシルベニア州スクラントン、下司佳代子撮影

ロシアとウクライナによる戦闘では、ドローンなど最新のハイテク兵器が注目されがち。でも実は、第1次世界大戦の時と同じように大砲や砲弾の補給が戦局の鍵を握っているといわれています。なぜ、今なお砲弾がそこまで重要なのでしょうか? ウクライナの戦場を動かす「砲弾の力」について、要点を整理します 。

この記事は、朝日新聞(デジタル版)の連載「そもそも解説」で、2024年5月5日に配信された記事を再構成してお届けします。本編はこちらから

ざっくり要点

1.  ウクライナの戦場では、砲弾による死傷者が全体の約8割を占める
2.  戦局を左右するのは「155ミリ砲弾」で、欧米各国がウクライナに供給している
3.  ウクライナ防衛には月7.5万〜9万発、大規模攻勢には20万発以上が必要との分析も
4.  生産競争や非人道的な兵器の使用も問題に

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1, 戦場を左右する砲弾の破壊力

ロシア軍とウクライナ軍は長い前線でにらみ合い、大砲による攻撃が戦局を左右しています。領土を守るにも奪い返すにも、大砲と砲弾が不可欠。欧米の専門家によると、死傷者の8割は砲弾によるものとされています。

2, 最も重要なのは「155ミリ砲弾」

「155ミリ砲弾」は欧米がウクライナに供給する主力の砲弾です。障害物を越えて広い範囲を攻撃でき、量産技術も確立されていてコストも比較的安いのが特徴。ウクライナは旧ソ連規格の砲弾も使ってきましたが、調達には限界がありました。

3, 要求数と供給数の大きなギャップ

ウクライナが防衛を続けるには月7万5000~9万発、大規模な攻勢には20万~25万発が必要とされています。米国は2022年以降200万発以上を供給しましたが、実際の戦場では一時期、1日あたり7000発から2000発に減少。戦況を好転させるには、さらに多くの砲弾が必要とされます。

4,  欧米の対応とクラスター弾の提供

欧米各国がウクライナのために砲弾の生産を増やそうとしても、設備投資や時間がかかります。アメリカは一時的にクラスター弾も提供しましたが、不発弾が民間人を傷つける恐れがあり、厳しい選択を迫られています。

記者のひとこと

「155ミリ砲弾」は、実は第1次世界大戦の塹壕(ざんごう)戦に対応するためにフランスが本格的に開発したのが始まりです。第2次大戦を経て、戦後に北大西洋条約機構(NATO)の標準規格となりました。ウクライナはもともと旧ソ連規格の152ミリ砲弾などを使っていましたが、主にロシアや中国で生産されているため調達に限界もあり、戦場の主流はNATO規格の155ミリに移行しているのが現状です 。