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俳優・鈴木福さんが考える選挙「動かないと変化は起きない」アメリカで見た政治の近さ

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鈴木福さん=2024年9月、東京都中央区、門間新弥撮影

鈴木福さんが参加した投票を呼びかける動画=「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」公式YouTubeチャンネルより

今年4月に大学2年生になりました。大学の友人とふつうに「選挙に行く?」と話すこともありますし、7月の東京都知事選のときは掲示板のことも話題になりました。

俳優のほか、テレビ番組のコメンテーターもしていますが、誰かにとって嫌なこと、傷つけるようなことは言いたくないし、自分が思っていないことは言いたくないと思っています。

政治に触れる機会は、X(旧ツイッター)で結構あります。「小泉構文」とか、話題になっていることが「トレンド」に上がってきて、面白いなと。「誰々をどう思う?」と周りに聞くのもなかなか難しい。でも、SNSを開いたら、その政治家についてどう考えているかを書いている人たちがたくさんいて、いろいろな意見を知ることができる。間違っているものもあるのでメディアリテラシーを高めていく必要はありますが、情報源としては良いと思います。

家で選挙の話はしますが、「誰に投票した」という話はしない。小さいころ興味があって「誰に入れたの?」と両親に聞いても、「そういうのは言うもんじゃないから」って教えてくれなかったですね。今でも「自分で決めて好きに投票しなさい」と言われています。

2022年の参院選前に、「投票はあなたの声」のオファーがありました。選挙権年齢の18歳を迎える年で、2021年の衆院選前の動画がすごく話題になっていたこともあり、「ぜひ」と受けました。参院選は7月でしたが、僕は6月に18歳になったので、ぎりぎり投票に行けました。中学校や高校の生徒会選挙の投票みたいで、さらっと終わりました。

「たった1票じゃ変わらないよなぁ」と思ってしまうこともありますが、それでも行かないよりは行ったほうが良いと思います。「若者の投票率が低いのが問題だ」とよく言われますが、もっと年上で投票しない人たちもたくさんいる。若い人たちは数も少ないし、投票する意義がわからないと投票に行かないと思います。

鈴木福さん=2024年9月、東京都中央区、門間新弥撮影

「政治が変わる」イメージが湧かない世代という面もあるかもしれません。テレビドラマ「マルモのおきて」が放映されたのは、2011年の東日本大震災の直後でしたが、撮影当時のことは少ししか覚えていません。なので、5歳だった2009年の政権交代はほとんど記憶にないです。

投票して何か変わったり、自分に返ってくるものが見えたり、本当に投票したいと思わせてくれる候補者が出てきたり……。そういうことがない限り、投票しようという気になるのは難しいんじゃないかなと思います。

今年8月、テレビの取材で米ロサンゼルスに行き、ドジャースの大谷翔平選手が「40-40(40本塁打40盗塁)」を達成したのを目の前で見ました。空港では、大統領候補のハリスさんのチョコレートバーや、トランプさんの首振り人形が売られていました。そういう盛り上がりは、日本の選挙にはないから面白い。二大政党制だからというのもあるのかな。選挙が生活に根付いているんだな、生活に関わってくると感じられているんだなと思いました。

僕は自分の周りで「総理大臣や政治家になりたい」と言う人に会ったことがないので、そういう人が出てくる国であったらなとよく思います。政治家が、小さい子に憧れられるような職業であってほしいです。

被選挙権年齢も引き下げたら良いと思います。若者が政治に関心を持ち、投票をしようと思うには、自分たちに近い世代が出馬し、応援したいと思える状況が必要ではないかと考えています。

「子どもが増えたらいいな」「この国で長く暮らしたいな」と思う人が増えない限り、国は発展しないと思います。みんなが「将来どうなるんだろう」と不安に感じたり、夢を持ちにくかったりする社会は絶対に良くない。小さい子たちが夢を持って生きていけるような世界になってほしいですよね。

若い世代が増えなければ、有権者が多い高齢者向けの政策が行われるシルバー民主主義になる可能性は否めません。僕たちの世代にとっての10年後20年後と、上の世代では違います。日本は停滞していて、上向く感じはしないですね。今のままでは明るい未来が見えている人の方が少ないと思うので、どう変化するのか興味があります。

投票に行かないよりは行った方がいいと思うし、動かないと変化は起きない。投票は権利ですし、それを使わないのはもったいないと思います。

鈴木福さん=2024年9月、東京都中央区、門間新弥撮影