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ジャニーズ事務所の藤島社長、故喜多川氏の性加害を認めて引責辞任 後任に東山紀之氏

World Now 更新日: 公開日:
会見で記者の質問を受けるジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏(右)と東山紀之氏
会見で記者の質問を受けるジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏(右)と東山紀之氏=2023年9月7日午後2時34分、東京都千代田区、朝日新聞社

ジャニーズ事務所は7日午後、都内のホテルで会見し、その様子はNHKを始め民放各局なども生中継やライブ配信した。

会見には藤島ジュリー景子氏のほか、東山紀之氏と井ノ原快彦氏、事務所の顧問弁護士の計4人が登壇した。井ノ原氏はジャニーズJr.などのタレント育成を担うグループ会社「ジャニーズアイランド」の社長を務めている。

会見で藤島氏は、「私、藤島ジュリー景子は再発防止特別チームの提言を受け入れ社長を辞任いたしましたが、被害者の方々に対する補償を責任をもってまっとうするために、当面の間、代表取締役としてとどまりますが、被害者の方々への補償・救済、いま所属しているタレント、そしてジュニアのみなさんの心のケア以外の業務執行には関わりません。このたびは誠に申し訳ございませんでした」と述べ、頭を下げた。

また白波瀬傑副社長も、5日をもって引責辞任したという。

会見で記者の質問に答える東山紀之氏
会見で記者の質問に答える東山紀之氏=2023年9月7日午後2時19分、東京都千代田区、朝日新聞社

新社長に就いた東山紀之氏は「まずは喜多川氏の性加害を認め、ここで謝罪させていただきます。被害にあわれた方々、長きにわたり、心身ともに辛い思いをさせたことを本当に申し訳なく思います。今後は、この事実に真摯に向きあうため、私は年内をもって表舞台から引退をします。今後は人生をかけて、この問題に取り組んでいく覚悟であります。この場をお借りして、ファンのみなさま、取引先のみなさま、スタッフのみなさま、社外のみなさま、重ね重ねお詫びを申し上げます」と述べ、年内にタレント業から引退することを明らかにした。

東山氏は1966年生まれの56歳。1985年、「少年隊」としてレコードデビュー。事務所所属タレントの最年長として知られる。

質疑応答では、長年、ジャニーズ事務所に所属する東山氏と井ノ原氏が、喜多川氏による性加害の事実を知っていたかについても質問が出た。

東山氏は「恥ずかしながら、何もできず、何の行動もしていなかった。ただ噂としては聞いていた。私自身は被害を受けたこともなく、受けている現場に立ち会ったことはなく、先輩たちからも後輩たちからも相談もなかったので噂という認識はしていたが自ら行動するということはできずにいた」「噂であると信じていた」などと述べた。

井ノ原氏は「小6の頃に事務所に入りました。その時すでにそういった(告発)本が出ていて、周りの仲間たちも『そうなのかな』という噂はありました。『そうなったらどうしよう』という話もしていた。ただ被害に遭われた方が相談に乗ってくるとか、そういうことができない空気はあったと思う」「なんだか得たいのしれない、それには触れてはいけない空気というのはありました」などと述べた。

喜多川氏の名前などに由来する事務所の名称は、変えない方針も明らかにした。

東山氏は「これだけの犯罪なので、これを引き続き名乗るべきなのか、いろんな解釈がみんなの中にもあった」としつつ、「何より大事なのは、これまでタレントさんが培ってきたエネルギーであるとかプライドだと思うので、その表現の一つでもいいんじゃないかと思っている」「名前を変えて再出発した方がもしかしたら正しいのかもしれない。ただ僕らはファンに支えられているものですから、それをどこまで変更することがいいのかを考えてきた。今後はそういうイメージを払拭できるほど、みんなが一丸となってがんばっていくべきなのかな、という判断を今はしている」などと述べた。

会見中、涙を拭くジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏
会見中、涙を拭くジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏=2023年9月7日午後3時5分、東京都千代田区、朝日新聞社

一連の問題で、藤島氏らジャニーズ事務所幹部が会見するのは今回が初めてだった。

今年3月にイギリスBBCが性加害問題を追及するドキュメンタリー番組を放映、元所属タレントらが実名で被害を訴え、それまで沈黙していた国内メディアが相次いで取り上げるようになっても会見は行わず、公式サイト上での謝罪動画と書面による一問一答の公開にとどまっていた。

謝罪動画で喜多川氏による性加害を「知らなかった」と述べ、自らが公の場で説明しようとしないことに、批判が高まっていた。

829日には、ガバナンスの点検と再発防止に向けて事務所が設置した外部有識者による「再発防止特別チーム」が調査報告書を公開。

記者会見する、ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」座長の林真琴弁護士(中央)ら
記者会見する、ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」座長の林真琴弁護士(中央)ら=2023年8月29日、東京都中央区、岩下毅撮影

チームは被害を訴える元所属タレントや事務所関係者たちから聞き取り調査をするなどして報告書をまとめた。

報告書は、ジャニー氏が「 1970 年代前半から 2010 年代半ばまでの間、多数のジャニーズ Jr.に対し、長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた」とし、ジャニーズ事務所が週刊文春による報道や裁判、元タレントの告発にも「性加害の事実を調査するなどの適切な対応をしなかった」と認定した。

その上で、背景に「同族経営の弊害」や「ジャニーズ Jr.に対するずさんな管理体制」「ガバナンスの脆弱性」「マスメディアの沈黙」などを指摘し、再発防止策として藤島社長が辞任して同族経営を廃し、ガバナンス不全を解消するべきだと提言。直ちに「被害者救済措置制度」を構築することも提言していた。