ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐっては約20年前、週刊文春が特集記事で報じたが、喜多川氏と事務所側が否定し、民事訴訟にまで発展した。ほかの国内メディアが「沈黙」する中、イギリス公共放送BBCが今年3月、ドキュメンタリー番組を放送。新たな被害者が公の場で証言をするなどしたこともあり、ほかのメディアもようやく報じる事態になっていた。
今回、調査報告書をまとめた再発防止特別チームは、前検事総長の林真琴弁護士が座長を務め、精神科医や臨床心理士ら専門家で構成された。
特別チームは報告書の中で、性加害の実態について被害を訴えてきた元ジャニーズJr.(事務所所属のタレント)や現役所属タレント、事務所関係者らから聞き取り調査した結果をまとめ、以下のように結論づけた。
「古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては、1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、性加害を長期間にわたり繰り返していたことが認められる」
被害者の数については、「少なく見積もっても数百人の被害者がいるという複数の証言が得られた」としている。
報告書は事務所の「同族経営」の弊害と批判。「誰もジャニー氏に対して文句を言えず、また、言おうともしなくなるという、同族経営の負の『企業風土』ともいうべきものがより強く醸成されていったと推察」とした上で、暴露本や文芸春秋(週刊文春の出版元)との訴訟により、喜多川氏の性加害が明らかになったにもかかわらず、事務所の役職員は黙認したり否定したりして、調査や再発防止といった適切な対応をしなかったと問題視した。
喜多川氏のめいで現社長の藤島ジュリー景子氏について、報告書は「代表取締役社長からの辞任を含む解体的出直しを図らなければ、社会からの信頼を回復することは到底期待することができない」と厳しく指摘した。
事務所「改めてお詫び」
ジャニーズ事務所は8月29日、報告書を受け取ったことを公式サイトで報告。「皆様に多大なるご心配とご不安をおかけしておりますことを、改めて心よりお詫び申し上げます」とした。また、調査結果を踏まえ、記者会見を開く方針を明かした。