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ジャニー喜多川氏の性加害問題でジャニーズ事務所社長が謝罪 加害は「知らなかった」

World Now 更新日: 公開日:
ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長=2023年5月14日に公開された動画より
ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長=2023年5月14日に公開された動画より

14日夜に公開された1分余りの動画で、藤島社長は「このたびは、創業者ジャニー喜多川の性加害問題について、世の中を大きくお騒がせしておりますこと、心よりおわび申し上げます。なによりまず、被害を訴えられている方々に対して、深く、深く、おわび申し上げます」などと述べて、繰り返し頭を下げた。

頭を下げるジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長=2023年5月14日に公開された動画より
頭を下げるジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長=2023年5月14日に公開された動画より

藤島ジュリー景子社長は、喜多川氏の姉でジャニーズ事務所の名誉会長だった藤島メリー泰子氏(2021年に死去)の長女で、喜多川氏が2019年に死去後、副社長から社長に就任した。

事務所はまた公式サイトで、寄せられた質問に回答する文書を掲載した。

今年3月に放送されたイギリス公共放送BBCによるジャニー喜多川氏の性加害問題を追及するドキュメンタリー番組や、十代の頃に喜多川氏による性被害に遭ったと記者会見で訴えた元ジャニーズJr.でシンガーソングライターのカウアン・オカモトさんの告発については、「事実であるとすれば、まず被害を訴えておられる方々に対してどのように向き合うべきか、また事務所の存続さえ問われる、極めて深刻な問題だと受け止めました。あらためて事実確認をしっかりと行い、真摯に対応しなければならないと思いました」とした。

ジャニー喜多川氏による性被害を訴えたシンガーソングライターのカウアン・オカモト氏(右端)と会見に集まった報道陣=2023年4月12日、東京都千代田区の日本外国特派員協会、渡辺志帆撮影
ジャニー喜多川氏による性被害を訴えたシンガーソングライターのカウアン・オカモト氏(右端)と会見に集まった報道陣=2023年4月12日、東京都千代田区の日本外国特派員協会、渡辺志帆撮影

オカモト氏は4月、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で会見を開き、2012年に15歳でジャニーズJr.に加わってから2016年に事務所を退所するまで1520回、喜多川氏のマンションや宿泊先のホテルで夜間に性器を触られ、口淫されるなどの性的被害に遭ったと訴えていた。

記者会見でジャニー喜多川氏による性被害を訴えたシンガーソングライターのカウアン・オカモト氏=2023年4月12日、東京都千代田区の日本外国特派員協会、関根和弘撮影
記者会見でジャニー喜多川氏による性被害を訴えたシンガーソングライターのカウアン・オカモト氏=2023年4月12日、東京都千代田区の日本外国特派員協会、関根和弘撮影

藤島氏はオカモト氏らの告発について事実認定はしなかったが、「問題がなかったとは一切思っておりません。加えて会社としても、私個人としても、そのような行為自体は決して許されることではないと考えております。一方で、当事者であるジャニー喜多川に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について『事実』と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではなく、さらには憶測による誹謗中傷等の二次被害についても慎重に配慮しなければならない」とした。

さらに、藤島社長自身は、喜多川氏による性加害の事実を「知りませんでした」とした。

喜多川氏の性加害問題をめぐっては、週刊文春が1999年以降に被害を訴える元少年の証言を集めた報道キャンペーンを展開し、ジャニーズ事務所が同年、週刊文春を発行する文芸春秋を相手取り、名誉毀損で1億円余りの賠償を求める民事訴訟を起こしている。この訴訟は喜多川氏による「セクハラ行為」については「その重要な部分について真実」と認定した東京高裁の控訴審判決が2004年に確定している。

藤島社長は、1999年当時はジャニーズ事務所の取締役だったが、問題を知らなかった理由としてタレントのプロデュースをジャニー氏、会社運営の全権をメリー氏が担い、1962年の創業時から「二人だけであらゆることを決定」していたという特異な運営体制を挙げた。

その上で、「私自身その異常性に違和感を持つことができなかったわけで、ただただ情けなく、深く後悔しております」とした。

ただ自身の進退については、「今すべきはこの問題から逃げることなく、被害を訴えてこられた方々に向き合うこと、さらにこれから先、二度と同様の問題が起こらないよう、既に着手し始めている経営改革、社内意識の抜本的改善をやり抜くことだ」として社長辞任を否定した。

また、「セクハラ行為」を認定した高裁判決が確定した後の対策について、「その時点でもジャニー本人は自らの加害を強く否定していたこともあり、結局メリー及び同弁護士から、ジャニーに対して『誤解されるようなことはしないように』と厳重注意をするにとどまったようです」とした。

再発防止策については、すでに設置している「コンプライアンス委員会」で、取り組みを強化するほか、新たに「社外取締役を迎え入れて経営体制を抜本的に見直す」とし、人選、依頼を進めていることを明らかにした。

この問題についての第三者委員会を設置しない理由として、「調査段階で、本件でのヒアリングを望まない方々も対象となる可能性が大きいこと、ヒアリングを受ける方それぞれの状況や心理的負荷に対しては、外部の専門家からも十分注意し、慎重を期する必要があると指導を受けたこともあり、今回の問題については別の方法を選択するに至りました」と説明。外部のカウンセラーや弁護士らの指導のもと、外部窓口を5月中に設置するとした。