満員電車から解放される?都内は船で通勤する日がくるのか 実証実験始まる
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都内の河川などでは、屋形船や遊覧船は運航しているが、日常の移動手段としての船は普及していないのが現状だ。都はニューヨークやロンドンなど、舟運がより日常的に使われている大都市の事例を参考にしつつ、東京ならではの活用法を探っている。
昨年の実験は10、11月の平日に計14日間実施された。両国~天王洲、豊洲~お台場、日本橋~日の出など、東京湾や隅田川などを通る6航路で計656便。運賃は200~1000円だった。のべ2800人が乗船し、特に夕方の利用に人気があったという。
人口増加が著しい臨海地域の交通手段として、また、船では座ってパソコンを開きながら移動できることもあり、ポストコロナ社会の新しいライフスタイルとして、都は舟運に期待を寄せる。
だが課題も多い。都市整備局によると、「通勤に利用してもらうには、運賃を高くできない。事業性をどう確保するかは大きな課題。屋根のない船もあり、天候によっては欠航することがある」。
昨年の実験では、雨のため35便が欠航になったという。それでも、日本橋の船着き場のように、徒歩3分ほどで地下鉄に乗り換えできるところもあり、都心で整備が進むシェアサイクルと組み合わせた利用法も広がる可能性があるという。担当者は「徐々に認知度を上げていき、いずれ公共交通のステージへと高めていきたい」と話す。(目黒隆行)