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恥をかいても気にしない!発音を上達させるのは人前での練習 最新ニュースで練習しよう

世界でビジネスをするための外国語習得術 更新日: 公開日:

外務省職員としてアラビア語の首相通訳を務め、外交交渉の現場に立ち会ってきた中川浩一さん(現在、三菱総合研究所主席研究員)。著書「総理通訳の外国語勉強法」(講談社)を2020年に出版した中川さんに、忙しいビジネスパーソンに向けた外国語の習得術や世界で通じるコミュニケーション術を語ってもらいます。

ご質問ありがとうございます。

ruruさんのように、発音で悩んでおられる日本人はとても多いと思います。でも原点に立ち返りましょう。

まず、あなたには、発音したい単語、表現があるということ、あなたの意思がそこにあることは外国語能力向上にとても重要です。なぜなら多くの日本人は、そもそも外国人の前で話す内容が思いつかないからです(Nice to meet you.の後が出てこない)

そして仮に話題があったとしても、多くの人は「引っ込み思案」。勝手に、発音が悪いから通じないと思い込んで、さらに発言をためらうという悪循環です。

ところで、あなたは発音の悪さを悩む前に、発音が悪いから聞き取ってもらえないという経験を何回しましたか。

私は、24歳の時、ゼロからアラビア語を始めました。アラビア語は世界最難関と言われますが、その理由の一つに発音の難しさがあります。

日本人には難しい発音も多いです。またアラビア語には、一つの文字で違う発音もあるのです。英語で言えば「r」と「l」のように。

たとえば、「カタラ」というのはアラビア語で「殺す」という意味なのですが、「カ」に2種類、「タ」に2種類、「ラ」に2種類の発音があり、2×2×2の8通りの中から1つだけが正しい発音で、それを言えなければ通じません。私は、それを、研修中、人前で何度も何度も発音させられました。

先生やアラブ人には、毎度「違う、違う」と言われ、恥を何度もかきましたが、やはり回数が重要です。最後にはできるようになりました。

ただし、大事なのは、ネイティブの正しい発音を耳でしっかり聞いておくことです。

スポーツの練習と一緒で、正しいフォームで、めげずにやり続けることです。「恥」の回数だけ、あなたの発音はネイティブに近づいていきますよ!

気候変動問題について、あなたの意見を話してみよう

11月6日から20日まで、エジプトで、国連の気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が開催されました。気候変動問題について、あなたの考えを外国人に話してみましょう。 

エジプトで開かれた国連の気候変動会議(COP27)の閉幕会合で、演説後拍手を受ける議長のシュクリ・エジプト外相(中央)=2022年11月20日、エジプト・シャルムエルシェイク、朝日新聞社

まず日本語を読んで、ここから自分ならどの単語や表現を使って、自分の意見を言おうかと考えてみてください。英語でなく、日本語で考えましょう。そして自己発信文を、私が提唱する「自己発信ノート」に書いてみてください。一人称で考えることが重要です。

次に、日本語の記事の英語の原文を見ます。

あなたがイメージした英語と違っていても、まずは原文の英語をそのまま引用して、自己発信文を英語にしてみましょう。

このように選んだ題材の文章を少し加工するだけで、自分の意見を表す文章が完成しました。

自己発信文に戻ると、英単語はいくつかのバリエーションを持っていくことが、語学力を高めるコツになります。これらを踏まえた「オリジナル単語帳」のイメージは下記の通りです。

みなさんに「宿題」です

次の日本語からいくつの外国語(英語)が言えますか?少し日本語を言い換えても構いません。バリエーションの訓練が、ビジネス本番で必ず役に立ちます。このコラムでお伝えしているとおり、大事なことは、伝えること。思いつくかぎりの想像力でトライしてみてください。回答は次回、お伝えします。

101 まひさせる

102 見捨てる

103 養育する

104 派遣する

105 操作する                               

前回(レッスン19)の回答

96 侮辱する insult,contempt,disgrace

97 裏切る betray,let down,cheat,disappoint

98 違反する violate,breach,break,transgress

99 洗練する refine,polish up, cultivate,sophisticate

100 監督する supervise,take charge of, oversee, control

 メモを取らない「力」をつける方法

今回は、前回コラムの問題意識を踏まえ、メモを取らない「力」をどうやってつけるのかお伝えします。この「力」は通訳訓練の一環でもあるので、具体的な練習方法について触れたいと思います。

最近、AIの発達もあり、人間が自ら記憶する力が落ちてきています。特に若いビジネスパーソンは、コロナ禍でのオンライン会議の激増により、記録作成などはすべてコンピューター任せという方も多いのではないでしょうか。

まずは、外国語うんぬんより日本語の世界で、こういう習慣から脱却しなければ、いざ対面で大事な営業となっても、メモを取らないと記憶に残らないということになりかねません。これらはルーティンの見直しでもありますが、大変重要な一歩です。

その次に、私がおすすめするのは、テレビやラジオのニュースを30秒間聞いて、それを、覚えている限りメモに書き下す訓練です。最初は日本語でやりましょう。驚くほど、記憶に残っていないことに驚かされるでしょう。それは記憶力だけでなく、内容への理解不足にも起因します。

11回、30秒のニュースを聞いてみる、そこからスタートしてみましょう。次回は、これらを前提に、外国語の運用に落とし込んでノウハウをお伝えしたいと思います。