本音の質問をいただきありがとうございます。
日本の英語教育でも、最近とみに、4つの能力、すなわち、これまでの「リーディング(読む)」、「ライティング(書く)」、「リスニング(聴く)」に加え「スピーキング(話す)」が重要で、これらをバランスよく勉強しなければならないと言われます。この中で、「スピーキング」だけは相手が必要で、自己完結ができない分、面倒くさい、骨の折れる作業で、必然的に、あとの3つの能力も重要として、それらに逃げ込みがちです。
日本人はもともと、「あうん」の世界で生きてきているので、日本語でも「話す」のが苦手だと思います。外国語であればなおさらです。
正直、私も誰とも話さなくても苦痛ではありませんし、その方が楽でいいですよね。というわけで、おそらくほとんどの人は元来、怠け者なわけです。
結局、何が違うかといえば、外的環境です。
私の場合は、外務省に入って、まさかのアラビア語学習を命じられ、エジプトに行って、授業では毎日プレゼンという逃げ場のない環境でした。私のように仕事ではなくても、ようやくコロナ禍も落ち着いてきたこともあり、まずは外国に旅行、もし可能なら長期旅行や語学学校への留学はどうでしょうか。そうすれば、いやでも毎日、あなたの言うように、事実上、日記を書いていることになります(そして、それは大事なことです)。
まずは、一歩、行動を起こしてみましょう。
北朝鮮のミサイル発射について、あなたの意見を話してみよう
今回は、最近頻発している北朝鮮のミサイル発射がテーマです。10月4日には5年ぶりに「Jアラート」(全国瞬時警報システム)が鳴りました。あなたの考えを英語で話してみましょう。
まず日本語を読んで、ここから自分ならどの単語や表現を使って、自分の意見を言おうかと考えてみてください。英語でなく、日本語で考えましょう。
そして自己発信文を、私が提唱する「自己発信ノート」に書いてみてください。一人称で考えることが重要です。
次に、日本語の記事の英語の原文を見ます。
このように選んだ題材の文章を少し加工するだけで、自分の意見を表す文章が完成しました。
自己発信文に戻ると、英単語はいくつかのバリエーションを持っていくことが、語学力を高めるコツになります。これらを踏まえた「オリジナル単語帳」のイメージは下記の通りです。
みなさんに「宿題」です
次の日本語からいくつの外国語(英語)が言えますか?少し日本語を言い換えても構いません。バリエーションの訓練が、ビジネス本番で必ず役に立ちます。大事なことは、伝えること。思いつくかぎりの想像力でトライしてみてください。回答は次回、お伝えします。
96 侮辱する
97 裏切る
98 違反する
99 洗練する
100 監督する
前回(レッスン18)の回答
91 明らかにする clarify, reveal, disclose, make clear, manifest
92 改善する improve, remedy, enhance
93 刺激する stimulate, inspire, stir up, galvanize, ignite
94 介入する intervene, interfere, meddle, intrude, step in
95 容易にする facilitate, make ease, make smooth, make it a snap
グローバルビジネスで大切な「メモを取らない力」
若手のビジネスパーソンが最初に会社で行う日常業務の一つに、会議のメモ取りがあるのではないでしょうか。私も、外交官として駆け出しのころは、よく上司に同行して、職場に戻ったら、急いでメモを起こしていました。
私の場合は、使用言語はアラビア語の時も、英語の時もありました。そもそも、日本語ですら会議のメモ取りは決して簡単ではありません。それを外国語で行う場合はなおさらですね。今は、企業によっては、日本語で記録に残すことは必要ないところも出てきていますが、日本政府も意外とまだ記録は日本語がメインです。要は、会議の使用言語が何語であれ、その内容を日本語で理解していないと、ろくにメモも取れません。
しかし、このコロナ禍でオンライン会議が増えたことにより、便利なことに、相手の同意を得れば録音が可能になり、メモ取りも格段に楽になりました。しかし、ビジネスパーソンは、それで喜んでいる場合ではありません。
たしかに記録自体は楽になったかもしれませんが、よく考えれば、録音しますよと言われる会議で、誰が本音で話すでしょうか。あなたも、仮に相手があなたが話すことを逐一記録していたら、思うように話せないでしょう。公式な味気ない発言に終始することが多いと思います。
ですから、本気のビジネスほどメモ取りは厳禁です。食事をしながら、あるいは国によってはお酒を飲みながら、核心的な話をします。それでは「メモを取らない力」はどうやってつけるのでしょうか。この「力」は通訳訓練の一環でもあるので、次回、具体的な練習方法について触れたいと思います。