スウェーデン発祥の家具チェーン「イケア」(本社・オランダ)は、欧米や日本をはじめ、東南アジアや中東などフランチャイズを含め60以上の国・地域で事業を展開しているグローバル企業です。家具は分解・箱詰めされた状態で売られ、自分で組み立てるのが基本となっています。組み立て説明書はイラストを多用し、文字の説明がとても少ないのが特徴。説明書を通して世界中の消費者とどうコミュニケーションを取っているのか、書面でたずねました。
同社によると、説明書は「(商品をめぐる)お客様との対話の最後のつながり。とても重要な役割を担っている」という位置づけだ。「説明書の目的は、お客様に自信を与え、明快さをもたらすこと」であり、簡単にできる手順から始め、完成までの手順を段階的に示して後押しし、実行できる行動しか説明しない、などの工夫が込められているという。
説明書を作るチームはコミュニケーションやイラストレーション、3Dなどの専門知識を持つメンバーで構成。商品の3Dモデルをコンピューター上で分解することから始め、完成形から巻き戻していきながら、最適な手順を考え出していく。「最後に手書きのイラストや、よく説明書に登場するなじみのキャラクターを加え」たら出来上がりだ。
「文字を最小限にしつつ、普遍的な記号やジェスチャーを使って、多くの人々にとって明確でシンプルなコミュニケーションを実現するようにしている」という。
新商品や説明の更新などのため、年間に作る説明書の数は約1000種類にものぼる。「多くの言語に翻訳する必要があるため、テキストの使用を最小限に抑えるように努めている」。そうすることで「低価格を維持し、製品をより手頃な価格にすることができる」という。