日本は犯罪減少社会になっている。警察が2020年に認知した刑法犯は約61万4200件で、6年連続で戦後最少を更新した。7割近くが窃盗だ。
「重要犯罪」の一つに位置づけられる殺人は、戦後基本的に減少傾向にあり、929件(既遂318件、未遂611件)。犯罪減少は、少子高齢化で、犯罪の担い手になりがちな若者が減っていることなどがあるとされる。
受刑者の処遇を定めていたのは、1908(明治41)年制定の旧監獄法だ。
だが、厳罰化の流れで過剰収容が問題化しつつあった2001~2002年、名古屋刑務所で受刑者が刑務官から暴行されて死傷した事件をきっかけに、抜本的な見直しが進んだ。
受刑者の改善更生を目的とした刑事収容施設法が新たに施行されて処遇の改善が進み、業務の一部を民間に委託した官民協働の刑務所もできた。
犯罪の減少などもあって収容率は改善。新たに入所する受刑者も減り、2021年は約1万6150人だった。このうち入所が2度目以上の再入者も数としては減っているものの、全体に占める割合(再入者率)は約57%と高止まりしている。
刑法犯の再犯者率(2020年)も49.1%と過去最悪を記録した。再犯防止の取り組み強化が近年の課題で、国は2016年に再犯防止推進法を施行し、就労支援や住居の確保などに力を入れてきている。
刑法は、刑務所への「入り口」となる法律で、旧監獄法と同時期の1907(明治40)年の制定。懲役刑には、受刑者を「懲らしめる」ために刑務作業をさせるとの考えがあった。
大半の受刑者は、木工や印刷などを行っているが、若者には教育などを受ける時間が短く、体力の衰えた高齢者には作業自体が難しい、といったジレンマを抱えている。
これを受け、今夏刑法が改正され、115年ぶりに刑罰の規定が改められた。懲役刑と禁錮刑が拘禁刑に一本化され、「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、または必要な指導を行うことができる」と明記された。
刑事収容施設法と足並みをそろえ、受刑者の年齢や特性に応じて作業や教育を柔軟にできるようになると期待されている。