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「韓国初のワールドスター」から『ミナリ』まで 世界の映画賞に輝いた韓国女優たち

現地発 韓国エンタメ事情
カン・スヨン
カン・スヨン=釜山国際映画祭提供

5月7日、カン・スヨンが脳出血で亡くなった。55歳だった。心肺停止の状態で病院に移送されたと速報が流れ、多くの人が回復を祈ったが、意識は戻らぬまま息を引き取った。ネットフリックスで配信予定の『JUNG_E/ジョンイ』に主演し、久々の映画復帰が話題になっていただけに、韓国では大きな衝撃が走った。

カン・スヨンは子役でデビューし、多くのドラマや映画で活躍したが、世界的な注目を浴びたのは87年、『シバジ』(イム・グォンテク監督)でベネチア国際映画祭主演女優賞を受賞した時だった。世界3大映画祭での主演女優賞受賞は韓国では初めてのことで、これを機に「ワールドスター」と呼ばれるようになった。さらに89年には『ハラギャティ』(同)でモスクワ国際映画祭主演女優賞を受賞。韓国映画を世界に知らしめる役割を果たしたとも言える。

カン・スヨン
カン・スヨン=釜山国際映画祭提供

イム・グォンテク監督は男性中心社会における女性の苦難を描いた作品が多い。『シバジ』でカン・スヨンが演じたオンニョは、跡継ぎの生まれない家のためにシバジ(代理母)として息子を産むが、産んだとたんに追い出される。『ハラギャティ』ではカン・スヨンは尼寺に入るスンニョを演じ、実際に剃髪して熱演した。

日本ではソウルオリンピックが開かれた1988年から毎年韓国映画が劇場公開されてきたが、その88年に日本で公開された作品の1本に『青春スケッチ』(イ・ギュヒョン監督)がある。これもカン・スヨン主演で、韓国では87年に公開され、この年の興行1位を記録したヒット作だ。世界的に認められた演技力だけでなく、青春スターとしても人気を集めた。

2015~2017年は釜山国際映画祭の執行委員長を務めたことでも知られる。2014年にセウォル号事故を描いたドキュメンタリー『ダイビング・ベル セウォル号の真実』(イ・サンホ、アン・ヘリョン監督)の上映をめぐって釜山市と対立が生じ、映画祭運営が困難を極めた時期だった。2017年の開幕作『ガラスの庭園』のシン・スウォン監督は「カン・スヨンさんは素晴らしい俳優だっただけでなく、リーダーとしてもカリスマがあった。あまりにも早く逝ってしまって本当に悲しい」と話した。

カン・スヨンが立て続けに受賞した同時期、1989年に同じくイム・グォンテク監督の『アダダ』でシン・ヘスがモントリオール世界映画祭で主演女優賞を受賞した。その後、2002年にはイム監督が『酔画仙』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞した。

『シークレット・サンシャイン』主演のチョン・ドヨン
『シークレット・サンシャイン』主演のチョン・ドヨン(左)=全州国際映画祭提供

イム監督の全盛期に続き、2000年代はイ・チャンドン監督作の受賞が目立った。2002年、『オアシス』でイ監督がベネチア国際映画祭監督賞、主演のムン・ソリが新人俳優賞を受賞した。ムン・ソリが演じたのは脳性麻痺の障がいを持つ女性だった。続いて2007年、『シークレット・サンシャイン』でチョン・ドヨンがカンヌ映画祭主演女優賞を受賞した。

『オアシス』主演のムン・ソリ
『オアシス』主演のムン・ソリ=全州国際映画祭提供

キム・ギドク、ホン・サンス、パク・チャヌク、ポン・ジュノら監督や作品の受賞は続く一方、それらに主演したソン・ガンホ、チェ・ミンシクら男優の受賞はなかった。

近年では2017年、『夜の浜辺でひとり』(ホン・サンス監督)でキム・ミニがベルリン国際映画祭主演女優賞を受賞。記憶に新しいのは、昨年、『ミナリ』(リー・アイザック・チョン監督)で米アカデミー賞助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンだ。

女優たちの受賞歴を振り返ってみれば、確かに個性光る演技で魅了した女優たちだ。一方、韓国男優では昨年のカンヌ映画祭でソン・ガンホが審査委員、イ・ビョンホンがプレゼンターを務めるなどその存在感は「ワールドスター」と言えそうだが、目立った受賞がないのは意外な気もする。