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サンフランシスコの飲食店再開で始まる「ニューノーマル生活」

サンフランシスコ 美味しいフード&ライフスタイル
マウンテンビュー市を行進するデリバリーロボット

「外で飲むビールは最高!」「久しぶりに友達に会えた!」

6月半ば。サンフランシスコ・ミッション地区の人気メキシカンレストランに来た人たちは久しぶりの外食に”幸せ”を噛み締めていた。サンフランシスコのレストランは、その厚いベニア板で閉ざしたドアを3ヶ月ぶりに開いた。長いロックダウンと抗議デモや暴動で大打撃を受けた飲食店には、クローズした店も少なくない。しかしロックダウン期間もテイクアウトを導入し、「We miss your face!」と地元客に熱いコールを送りながら、力強く生き延びた店は今、客と再開の喜びを分かち合っている。そして、アフターコロナに甦った飲食店は、これまでとは異なる、新しいライフスタイルを提供している。

ミッション地区で人気のメキシカンレストラン「タコリシャス」

オープン・エアの新しい客席スタイル

今回解除となったのは、オープンエアダイニング。とは言っても野外スペースを持たない店は多い。そこで打ち出されたのが、サンフランシスコ市による画期的なロードマップ。歩道や道路脇の駐車場スペース、公園内やイベント広場などを開放し、飲食店が外にテーブルと椅子を置いて使えるようにする「スペースシェア」を提供した。普段は厳しい飲食規制を取っ払い、手続きナシ、あるいは簡易な手続きで利用できる。

市内では3ヶ月ぶりにオープンエアダイニングが再開となった

アウトドアで活かされるカフェスタイル

スタイリッシュなお茶カフェのパイオニア「Samovar」は、閉店中もテイクアウトを活用して生き残った。大通りに面する同カフェでは、コロナ前から道路脇の駐車場スペースを利用してオープンエアと店内飲食を両立させていた。既存の3店舗のうち、公園内にある本店とフィルモアストリートの新しい店舗はより広い公共スペースとサイドウォークが利用でき、アフターコロナの新しいカフェスタイルのモデルとなっている。

道路脇のパーキングをアウトドアエリア改装したカフェ、「Samovar」

自転車コミュニティを応援する「エコ文化」を牽引してきた、サードウェーブコーヒーの「Four Barrel Coffee」と「Ritual Coffee」は、コロナ感染拡大で公共交通機関から自転車利用に切り替えたリピーター達の便利な”立ち寄り場所”となっている。ミッション地区に本店を持つ両店は、コロナ前から設置していた駐輪ホルダーに加えアウトドアベンチなども利用でき、ソーシャルディスタンスが確保できる。このようなオープンカフェがこれからの主流となりそうだ。

「ダンデライオン」は店舗に面するパーキングスペースをオープンカフェに活用している

ガーデンを利用して、魅力ある客席を実現

コロナ時代の勝ち組はテイクアウトとアウトドアを両立する店舗かもしれない。人気居酒屋の「Rintaro」は、元々「弁当ビジネス」からスタートしたこともあり、テイクアウトはお手の物。復活した良質の弁当メニューにオーダーは殺到した。レストランに併設する広い中庭はソーシャルディスタンスを充分に保ちつつテーブルを設置している。店内飲食が可能になってもほとんどの客席は仕切りがあるので、アウトドアと併せてフル活用できると期待が高まっている。

広いパティオを持つ「Rintaro」はアフターコロナに新しいレストランの在り方を提案

人件費節約 ロボットと共存する時代!? 

人との接触を避け食事を届ける最新のAIを搭載した「デリバリーロボット」にも熱い注目が集まっている。2014年に起業した「スターシップテクノロジー」(本社:サンフランシスコ)は、コロナ禍で急成長した企業のひとつ。AI頭脳とコミュニケーション機能を持つこのロボットは、複数のカメラを駆使して予め行き先までのルートをシミュレーションして進む。その様子は全て管制塔のような場所でモニターされ、コンピュータで制御される。

マウンテンビュー市を行進するデリバリーロボット

私がその小型ロボットを目撃したのは、2年ほど前。その頃はまだ試験段階で、途中で止まったり、固まっている集団をよくみかけた。その後、ワシントンDCなどで実用化されるまでに進化したデリバリーロボットの需要はコロナ禍で急増。ついにシリコンバレーを皮切りに始動の時が来た。ITの街の歩道を歩行者と同じように障害物を避けながら行進し、車に注意を払って横断歩道を渡るロボットは、さながら地域密着型の配達員だ。

デメリットとしては、故障、突発の事故の心配と走行状況を人が管理しなければならない点だろう。メリットとしては、歩道を進む事で、車の配達より近道で、駐車場を探す手間がなく、配達時間もぴったり予測できる。また、配達先が感染危険地域であってもリスクが少ない。現在はアメリカから欧州へと活動の場を広げている。

ほかにも、シリコンバレーでは自動車の自動運転配車サービスの実証実験が最終段階となり、無人タクシーや空を飛ぶデリバリーも実用化を見据えている。ハイテクの街を忙しそうに駆け回る配達ロボットはコロナ禍の産物かもしれない。

ロボット給仕係が登場

ロックダウンで休業を3ヶ月間余儀なくされた飲食業界にとって、致命傷は雇用の確保だった。客が途絶えた状態では、ほとんどの店は従業員を解雇せずに経営を維持することはできなかった。一方、経済再開になって同じ人員を再び雇い戻すのは困難だ。

しかしもし、従業員がロボットだったらどうだろう。シリコンバレーで起業した「Bear Robotics」ならば、繁忙期と閑散期の従業員数の調整も、ロボットの電源ボタンをONとOFFに切り替えるだけで可能だ。休憩も食事も要らず、新入りでもプログラムを設定するだけでトレーニング終了。人件費を節約でき、緊急時にも対応できる。リースや買取など購入方法も柔軟で、必要がなくなれば転売も可能だ。

休み無なくピザ店で働く「Bear Robotics」のサーバー君

シリコンバレー、マウンテンビューにある人気ピザ店、「Amichi’s」に勤務するロボットウェイター君は、広い店内を忙しそうに働き回っていた。本体にピザやドリンクを載せ、一気にテーブルに運ぶ。この1人(1台?)で1回に20杯分のドリンクを持てる力持ち。しかも従業員4人分の仕事をこなすと店の人は重宝がっていた。コロナ時代のウェイターとして、ファミレスなど丁寧な接客サービスを必要としないカジュアル店からの問い合わせが急増しているという。今後、ホテルや病院、空港などでの活躍が期待されている。

長い巣ごもり生活からようやく人々が街に飛び出した。オープンした飲食店のテーブルで飲食をする住民達は、外食の魅力と価値を再認識したようだった。

多くのレストランはテイクアウトとオープンエアダイニングの共存がしばらく続く予想