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サンフランシスコのオーガニック食発信地 フェリービルディングのマーケット

サンフランシスコ 美味しいフード&ライフスタイル

仕事柄、フード視察やガイドをする機会があるが、その際のコースに絶対に外せない場所がある。サンフランシスコのオーガニック食文化を象徴するフェリービルディングだ。ライトブルーの時計台がチャーミングな同ビルは、1898年に建設された歴史的な建築物で、1904年、1989年の大地震にも耐えたが、その美しい外見とは裏腹に長年、船着場の倉庫となっていた。ところが2003年、大規模なリノベーションが施され、地産地消とオーガニックをテーマにした「マーケットプレイス」として生まれ変わった。美味しいローカルグルメが集結し、大勢の地元民と観光客を魅了するサンフランシスコのランドマークとなっている。

ビル内にはサンフランシスコ地産地消の魅力的な店が40店舗以上入っている

地産地消、オーガニック、持続可能がテーマ

「マーケットプレイス」を簡単に説明すれば、商店街とデパ地下の機能を持ち合わせたモダンなフードテーマ館。一見どこにでもありそうな商業施設だが、アメリカの一般モールで見かけるナショナルブランドは一切無い。ベイエリア(サンフランシスコとその近郊)発祥で、オーガニック、持続可能な経営、そして地元で支持を得ているかが出店の際の選考の大きなポイントとなる。要するに資金と体力がある企業ではなく、たとえ一軒でも地域に根付いたビジネスである事が重要なのだ。その為、小さな町のローカルフード店が、入居した事で一気に有名店に、ということも少なくない。大型商業施設やナショナルチェーン店を好まない地元民にとって、ここは地元のオーガニック食材や食材が調達でき、生活を豊かにしてくれる夢のような場所だ。

マーケットには、採れたての色とりどりの野菜が並ぶ

ファーマーズマーケットから生まれたサクセスストーリー

フェリービルディングの特徴が最大限に発揮されるのは、屋内店舗の他に敷地内で開催されるファーマーズマーケット(CUESA's Ferry Plaza Farmers Market )だ。火曜日、木曜日にも数件が出店するが、100軒以上の有名なオーガニック農家が集結するのは土曜日だけ。開放された広い駐車場は、朝から買い物をするシェフと一般客で埋め尽くされる。フェリープラザファーマーズマーケット単体としては、1992年から開催されており、オーガニックムーブメントの先駆となっている。フェリービルディングが改装オープンした2003年からはより多くの人で賑わうようになった。ファーマーズマーケットに出店していたブースや屋台から屋内のマーケットプレイスへ固定店舗デビューを果たしたラッキーなスモールビジネスも多い。中にはその後、世界に飛躍したケースも。いつも新鮮、進化を続けるフェリービルディングは美味しいフードトレンドを生み出す発信地となっている。

ソノマにオーガニック農園を開拓しミシュラン星付きシェフも虜にしたMarin Roots Farm (マリーンルーツファーム)左から:ジェシーさんとジャコブさん

マーケットプレイスには常設の店舗40軒以上が軒を並べる。魅力的な店の中でもストーリー性を持つおすすめ店舗をいくつか紹介しよう。

ブルーボトルコーヒー

本コラムでも紹介した同メーカーは、言わずと知れたファーマーズマーケットからミリオンビジネスに成長したブランド。日本でも洗練された店舗を展開し青いロゴマークは更にに飛躍を続けている。ここではそんなチャンスが限りなく秘められている。ブルーボトルコーヒーは2017年, ネスレに買収されグループ企業の一つとなった。おすすめは厳選されたオーガニックコーヒーとニューオリンズアイスコーヒー。

フェリープラザファーマーズマーケットの出店から人気を得て、現在固定店舗を2軒展開している

ミエッティ(Miette)

同じくファーマーズマーケットから固定店舗へとデビューを果たした パステルカラーで統一されたガーリーな商品が目を引くお菓子メーカー。オーナーも店の従業員も皆女性。それまでの甘く柔らかいアメリカンから、甘さを抑えたフランス本場のしっとりしたマカロンやサクサクの食感があるジャパニーズクッキーにヒントを得て商品開発したとか。花模様の形のクッキーやバラのデコレーションケーキなど人気で、お土産にも最適。おすすめは、合成色素や添加物を含まないマカロンとGingersnaps クッキー。

パステルカラーが基調のアメリカンなお菓子はお土産にも最適

カウガールクリーマリー(Cowgirl Creamery)

サンフランシスコを代表するオーガニック・アルティザンチーズメーカーで、1993年に学生時代からの友達だった女性二人が創業。サンフランシスコから車で北に約1時間半のポイントレイズという田舎町の小屋で、全米で最も有名なオーガニック酪農家「Straus Family Creamery 」のミルクを使ってチーズ作りを始めたのがきっかけだ。その後、フェリービルディンングに抜擢された。お隣はチーズサンド専門店として拡大された。共同創業者のスーは、有名オーガニックレストラン「Chez Panisse (シェ・パニーズ)」で17年間シェフを務めていた。現在オリジナルの店舗は洗練されたショップとカフェに改装された。2016年にスイスのEmmiという企業に買収された。チーズのオススメはMt. TamとRed Hawk、チーズカフェでは、トマトスープとグリルドチーズ。

ポイントレイズの倉庫でスーさんとペギーさんが創業したオーガニックアーティザンチーズ。試食もできる

アクミブレッド(Acme bread)

1970年代、前出のレストラン「シェ・パニーズ」にてバイトでパンを焼いていた青年がパン職人となり1983年に創業、サンフランシスコで一番有名なパンメーカーになったという夢物語のようなパン屋さん。オーガニックの小麦粉を使用したパンもアクミブレッドが先駆者だった。飲食店への卸売りがメインで、現在ベイエリアの高級レストランではアクミブレッドを出している店が多い。ここではパン工房も隣接している為、より多くの種類の焼きたてパンがゲットできる。オススメは Pain au Levain(レバイン) とSourdough(サワドー)。

シェ・パニーズで働いていたスティーブンスさんが創業したアクミブレッドはオーガニックブレッドのパイオニア的存在

フレッシュファームトゥーユー (Fresh farm to you)

1979年に家族経営から始まったオーガニックで持続可能な農家。当時はまだオーガニック認証もなかったとか。わずか2エーカーから始まった畑は今、2代目(息子)に引き継がれ、オーガニック食、地産地消の潮流に変わっていった。広大な畑で育つ野菜の種類は増え、フェリービルディング内、ファーマーズマーケットの両方で出店している。また一般家庭が利用できる「ミステリアスボックス」と呼ばれる、旬の野菜の詰め合わせボックスがネットからの注文でベイエリア全域に配達されている。

旬の野菜の詰め合わせ「ミステリーボックス」の宅配サービスもある

フォグアイランドオイスター(Hog Island oyster)

フェリービルディングで絶大な人気を誇るオイスター専門店。同ビルに入居する前は、サンフランシスコ中心地から北へ車で約1時間半行ったタマレスベイで牡蠣の養殖とカフェをやっていた程度だった。筆者は当時、何度も同店に足を運んでいるが、当時はまったりした田舎の雰囲気だった。今や年間350万個の牡蠣を出荷する超有名店に成長し、店舗も2倍に拡大した。2017年の買収によりタマレスベイのオリジナル店はTony’s Seafood Restaurantの名前に変わっている。おすすめはもちろん生牡蠣のアソートとクラムチャウダー、シーフードシチュー。

タマレス湾からフレッシュな牡蠣が毎日出荷される。牡蠣の種類も豊富

他にも、魅力的な店舗はたくさんある。例えば、サンフランシスコ発祥の高級トリュフチョコレートのリキュイティチョコレートはクラフト感溢れるベストオブベスト。1948年にサウサリートの小さな工房から始まった職人による手作り陶器のヒースセラミックスは、タイムレスでオーガニックな丸みのあるデザインが特徴。SFで繊細で美味しい朝食をサービスするBoulette’s Laderは、季節の食材をふんだんに使ったシンプル料理で優しい気分になる。以前、このコラムでも紹介した、サードウェーブチョコレートの先駆者ダンデライオン・チョコレートも去年、入居を果たした。日本のデリを彷彿させる90%カリフォルニア産のオーガニック食材を作った惣菜が並ぶDelica、サンフランシスコで最も予約が取りにくい大人気のベトナムレストラン、Slanted Doorなど見所が盛り沢山で語り尽くせない。サンフランシスコにお越しの際は是非立ち寄って頂きたいスポットだ。

フェリービルディングは、持続可能でオーガニック食の生産者とサービスをする経営者に大きなチャンスを与え、地域を活性化させ、私達の食生活を豊かにした。それは環境意識が高いグルメな住民と農家や店主が支援し合う理想の環境を創出した。 サンフランシスコで最も成功を遂げているフード施設だ。