1. HOME
  2. LifeStyle
  3. DXで進化する サンフランシスコの華やかなサンドイッチ市場

DXで進化する サンフランシスコの華やかなサンドイッチ市場

サンフランシスコ 美味しいフード&ライフスタイル
フレッシュで色彩豊かなTartine Manufactory のオープンサンド

サンフランシスコでは、ようやく去年12月から続いていた2回目のロックダウンが解除され、飲食店はアウトドアダイニング(店外飲食)のみの条件で再開し始めた。この1年、飲食店は厳しい規制で大打撃を受け、閉店した店も少なくない。しかしこんな状況下でも新たにオープンする元気な所もあるーーサンドイッチ市場だ。

新型コロナの影響で飲食業界はテイクアウトやデリバリーが主流となり、使い勝手のいい受注や決済のプラットフォームは急成長。そして、シェアキッチンなどを利用しての”ローリスクイノベーション”が加速している。サンドイッチ市場はそんな飲食DX時代の格好のアイコンとなり、新しいトレンドを創出している。

新規オープンしたHeroic Italianでピックアップする客

注文から決済まで「非接触」

サンフランシスコ発祥のパンと言えば、オーガニック小麦を使った手作りパンが主流。その先駆的なベーカリー「タルティーヌ・マニュファクトリー 」は、市内で人気No1を誇る。看板のカントリーブレッドを使ったオープンサンドイッチは、香ばしさとしっとりした食感と美しいビジュアルが際立つサンドイッチだ。

コロナ禍で店内飲食が規制されたこの1年、この店ではテイクアウトの機能を充実させたデリバリープラットフォーム「Bbot」を導入。店外飲食用メニューにもQRコードを表示し、注文から会計まで非接触サービスで完結することを実現した。 24時間モバイルで注文ができ、時間指定でデリバリーまたはピックアップができる。このサービスは、席で注文、支払いが瞬時に出来るため、店員を探す必要がない。そのため「人件費を削減できる」という注目のされ方もしているが、行列に並ばなくても大人気店のブランチを家庭で楽しめる「ニューノーマル」も悪くない。

多様性溢れるビジュアル美しいオーガニックのサンドイッチ@Tartine Manufacutory

リスクを抑えて事業スタート

最近オープンしたイタリアンサンドイッチ店「Heroic Italian」は、本場のイタリア食材にこだわるハイエンド。モチモチのイタリアンブレッドは、原料をイタリアから輸入しサンフランシスコで焼いている。人気メニューの「OMG」はプロシュートやチーズの品質が高く、ネットで大好評。実はこの店、ワインショップの一角に間借りするネットだけの新店舗。店構えに投資する必要もなく注文分だけを作るので在庫やフードロスもない。

ビジネスは流動的だ。景気が良くなった時には拡張もできる。このようなローリスクの新規オープンがじわじわと増えている。また、シェアキッチン、ゴーストキッチンなどと呼ばれるスペース、機材、デリバリーといった飲食業のための一環したシステムを提供するキッチンユナイテッド」や「クラウドキッチン」といったサービスを利用し、少ない投資で起業できる「ニューノーマル」な経営法も注目されている。

シェア店舗の例:ワインショップの片隅で起業した。
クオリティ高いイタリアンサンドイッチの食材は本場イタリアから

飛躍するアジア系サンドイッチ

多様性豊かなサンフランシスコで最近、アジア系は特に人気を伸ばしている。ベトナムサンドイッチ専門店の「Bun Mee」は、赤い自転車のトレードマークとポップな店作りで若年層のファンを増やし、それまでのアジア系のイメージを一新した。定番の黒豚バラ肉がジューシーな「ベリーバン」とカレー味のビーフにガーリックマヨがアクセントの「スローピーバン」が大ヒット。パクチーなどアジア野菜たっぷりの中にハラペーニョも入り、辛いもの好きのアメリカ人にウケている。

しかし2回に及ぶロックダウンを受け、カフェ2店舗をクローズ。テイクアウトとデリバリー専門店に切り変えた。全米でも最も人件費が高いとされるサンフランシスコで、ビジネス形態を変えた一例だ。それでも、この10年で常連客を掴んでいる強みでテイクアウトは好調。「Bun Mee」はなお、SFO空港店とオンライン上で健在だ。

2店舗はクローズしてテイクアウト専門店に変更した。SFO空港店は存続

日本の「サンド」がブレーク!

食のトレンドを生み出すミッション地区は、エスニックサンドイッチの激戦区。フィリピン、キューバ、ギリシャ、カリフォルニアxメキシカンなど様々な人気店が軒を並べている。

そんな中、日本の「カツサンド」がブレークしている。2年半前にオープンした「ストーンミル抹茶」のメニューに「カツサンド」が登場してから、「Sando」という言葉がアメリカ人に浸透してきている。ミッション地区でブレークしたほか、ニューヨークやロサンゼルスといった大都市にも日本のサンド店は広がっている。最近ではハラペーニョ入りや、寿司のネタのような「鰻サンド」まで登場している。直近1年では、「鯖サンド」や「トロバーガー」を看板とする「MasaBaga」(オークランド市)や食パンにコロッケをはさむといった日本風サンドを扱う「Bread N Chu」などサンド専門店が続々オープンしている。「Bread N Chu」はデリバリーサービスのサイトでメニュー、注文、決済、デリバリーまでを提供している為、自社のウェブサイトすら必要ない。「サンド」は、いよいよブームを迎えそうな兆しだ。

アメリカ人がこれまで見る事のなかった四角で耳のないカツサンドがブレークした@Stonemill Matcha
ロックダウンでテイクアウトのみとなってしまった店

コロナ禍でも生き残れるビジネスに軌道修正

そんな中、日本のサンド店の新規オープンに向けて動くカリスマ経営者がいる。サンフランシスコ対岸のオークランド市で、カジュアルからハイエンドまで和食レストランを超人気店に導いてきた小野力さんだ。

小野さんが経営する3店は、コロナの感染拡大で一変した。度々のロックダウンでテイクアウトをする1店以外はいまだに再開していない。

この1年、小野さんは従業員を解雇したり、また雇ったりを繰り返してきた。それでも再開の目処がたたず苦労を強いられたが、その中で考え出したのが、店舗の家賃や雇用に振り回されない経営だ。シェアキッチンを利用してテイクアウトとフードコートで提供する日本の「サンド」専門店、「Sun°C」を立ち上げた。「描いているのは、『デパ地下』のような「サンド」をはじめとしたジャパニーズファーストフードを並べたカフェです」と小野さんは言う。

日本で人気の「超熟パン」(Pasco社) と契約した。パンは冷凍で輸入され保存可能なので、現地で食材を調達し簡単な調理で商品作りができる。サービスを伴わないので、いままで重要課題とされていた従業員のトレーニングは省くことができ、シェフの腕に依存する必要もない。不安定なコロナ時代に生き残れるビジネスだと小野さんは期待している。

バラエティに富んだ日本の美味しいサンドを提供したい」。商標登録も「Sun°C」とユニーク
アメリカ人はカツや卵サンドはすでに知っている人が多いですが、フルーツサンドに関しては、パンではなく、ケーキと思っているみたいです

小野さんは昨年末から、客の反応を見るため不定期に営業する「ポップアップ」を始めた。「Sun°C」のポップアップは、SNSに写真を掲載し、商品の情報を書き込むだけだが、毎回予定している200個があっという間に売り切れている。ネット上で注文から決済までオールインワンで手軽。あとは客が設定した時間に商品を渡すだけだ。SNSでインパクトある商品画像がシェアされ、ネット上では最近、常に「Sando」の文字が踊っている。

調熟パンのアメリカ進出がサンドブームを加速させそうだ

飲食業界は今、変革期を迎えている。注文はオンライン化し、高齢者から若者までアプリを使いこなし、現金の取引はもう見られない。コロナ禍が後押しする新ビジネスの波は、サンドイッチ市場をさらに進化させたようだ。

ミッション地区でブレークした人気のサンドイッチ店、Mission picnicのABLT(A はアボカド)

<参考サイト>

https://www.toasttab.com/