こんにちは、絶景プロデューサーの詩歩です。
みなさんは「サハリン」と聞いて何を想像するでしょうか。
サハリン島、別名「樺太」。
終戦時までその南半分を日本が領有していた、日本とつながりが深い土地です。世界地図では、ロシアでも日本でもなく「真っ白」に塗られていることが多いですが、実際に生活しているのはロシア人の方がほとんど。日本人の在住者はかなり少なく、日本政府もその領有権を主張していません。
サハリンはロシアの「極東」に位置しますが、近年このエリアに注目が集まっています。ロシアはビザが複雑で旅行しづらい国として知られているのですが、ウラジオストクをはじめとする極東エリアで2018年から「eVISA」が導入。ネット申請だけで、気軽に旅行できるようになったのです。
そんなサハリンへ、2019年10月に旅行をしてきた様子を写真たっぷりにお届けします。
サハリンの州都「ユジノサハリンスク」へのアクセスは、成田空港からオーロラ航空の直行便で片道2時間半ほど。週2便運行されています。(2019年10月現在)
今回は3泊4日で訪れてきました。サハリンは北海道・稚内からたった40Kmの位置なので、短いスケジュールでアクセスできるのが嬉しい!
日本とサハリンの時差は+2時間。夕方に成田を出発し、夜ユジノサハリンスク空港に到着します。
到着すると周囲はロシア人だらけ。日本語の記載もあるかと思いきや、ほとんどがロシア語の看板でした。
初日は夜の到着だったので宿へ直行。翌日からの旅に備えます。
2日目はユジノサハリンスクから南東の海岸線を巡る1日。サハリンは整備されていない道路が多いため、4WDの車で移動します。
最初のポイントは「オホーツコエ海岸(Okhotskoye)」。この海岸ではちょっとユニークな出会いがあります。
そう、それはウシ! 近くの牧場の家畜なのですが、放牧の際なぜかウシが海岸線を通過するのです。
水牛は海にいますが、ホルスタインが海にいる光景はなかなかレア。ウシと一緒に海岸線を歩くという貴重な体験ができました。
続いて訪れたのは「ケープバード(Cape Bird)」。荒波で削られた岸壁が大迫力! ユニークな形をした巨岩がゴロゴロあります。
中でも一番綺麗な形をしているのが、こちらの岩。「幸福の門」と呼ばれていて、この中をくぐると幸せになれるとか。人の大きさと比べると、その壮大さがわかりますよね。
続いて訪れたのが「ブルーレイク(Blue Lake)」。鉱山の成分で湖がミルキーブルーになっている湖です。
日が傾いてから訪れたのでその本当の色鮮やかさは見られませんでしたが、晴天時の写真をみせてもらったら、自然で作られたとは思えないほど鮮やかな色をしていました。
この日最後のスポットは「エフスタフィア岬(Cape Evstafia)」。細い砂浜でつながった小さな島が海に突き出ている岬です。
ここで1日の終わりを飾る夕日を鑑賞。水平線に沈む夕日は見られませんが、トンボロ現象のような特徴的な地形で迎える夕暮れはスペシャルな体験でした。
この日回ったエリアは観光地としてまだ発達していないエリアのため、食事はツアー会社が用意してくれる軽食がメイン。途中のコンビニでは、旧ソ連時代を物語るアイスも食べてみました。
サハリン3日目。この日は、旅のハイライトである「アニワ岬灯台(Aniva lighthouse)」へ向かいます。
灯台は陸とつながっておらず、また近くまで道も通っていないでため、ノヴィコヴォ漁村から船で向かいます。この向かう道が想像以上のエクストリームさ! 外海をゴムボートで1時間半も走るので、絶叫マシンが苦手なわたしは諦めそうになるほどのスピードでした (笑)。
ついに、海上の灯台が見えてきました。
荒波が打ち寄せる岩場に建てられた、高さ31m ・9階建ての灯台。どうやって建設したのだろう…と思ってしまいますが、実はこれは日本が作った灯台。サハリンが日本領土だった1939年に建設されたのです。その立地のすごさ、美しさから、National geographic「世界の美しい灯台TOP5」にも選ばれたことがあるそう。
灯台自体は、現在使われていません。日本が南樺太を手放した後もロシアがしばらく管理していましたが、2000年代に入ってから手放され、今は廃墟になっています。
(灯台への上陸は可能ですが、かなり危険なため自己責任での上陸となります。※2019年10月時点)
メインスポットを見終わった後は、再びボートで漁村へ。市内から灯台へ往復するだけで丸一日かかりますが、それでも一見の価値アリなスポットでした。
サハリンは食事も美味しい! 夕食では、ロシア料理と北海道グルメの良いとこ取りのディナーをいただきました。
最終4日目は、飛行機の時間まで市内を観光します。
市内で一際目を引くのが、「キリスト降誕大聖堂(Cathedral of The Nativity)」。2016年に完成した大聖堂です。玉ねぎ型のドームとカラフルな色使いは“まさにロシア正教!”。
続いて訪れたのは「サハリン州郷土博物館(Museum of Local Lore)」。
日本の城のような外観ですが、それもそのはず。サハリンが日本だったころ、日本政府によって設置された樺太庁博物館の建物がそのまま使われているのです。
館内には約20万点の展示があり、日本とロシアの歴史、植生などを知ることができます。中にはアイヌについての展示もあり、日本とのつながりの深さを感じました。
市内観光後はユジノサハリンスク空港へ。昼過ぎには成田空港へ帰ってきました。片道2時間半とあっという間すぎる距離! こんなに気軽に異国を感じることができて、驚きの4日間でした。
ビザ緩和に加え、人気マンガ「ゴールデンカムイ」の舞台がサハリンであることもあり、今後注目度が高まりそうな極東エリア。
ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?