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裏口入学は全盛期にあるペテン師たちの完璧なスキャンダルだ

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俳優ロリ・ロックリン(中央)と2人の娘たち。右がOlivia Jade=ロイター

“The college admissions scam is the perfect scandal in the golden age of grifters"

3月13日付 ワシントン・ポスト紙

最近アメリカで頻繁に耳にする言葉がgrifterだ。古臭い言葉で「ペテン師」を意味し、1938年ごろによく使われたそうだ。しかし2014年、政治家同士が相手を侮辱する際に使うと、再びよく使われるようになった。政治家からビジネスパーソンまでscam(詐欺)をする昨今、世相にピッタリ合う言葉だと言える。

現在はgriftersgolden age(最盛期)だとこの記事は示唆する。記事を書いた人物は、数年前に実際にあった詐欺事件で、大失敗に終わった音楽フェスの「Fyre Festival」の裏側を描いたドキュメンタリー映画のプロデューサーだ。彼女は、この記事のテーマである裏口入学スキャンダルとFyre Festivalに共通した要因があると指摘。それはinfluence(威光の結果である支配力)が意味を持つ文化の広がりと、fear of missing out(いいことを逃してしまうのではないかという恐怖心)の強さだという。

子どもが誉れ高い大学に行ける保証をほしがる金持ちは従来、大学に巨額の寄付をしてきた。しかし、今回のスキャンダルはより深刻なworkarounds(問題の解決法)を暴露した。ADHDであるとの診断を受けて試験時間を延ばしたり、別人に受験させたりしていた。大学のスポーツコーチに賄賂を渡し、スポーツと無縁な子を選手として優先入学させることまでしていたという。手口を考案したコンサルタントと報酬を払った親ら50人が連邦地検に起訴された。

明らかになった手口はあまりに恥知らずで、衝撃は大きかった。なぜ親は子どもを有名校に入れるのに50万ドルも裏金を払うほどのdesperation(必死さ)だったのか。世間体を気にし過ぎたからか。裏口入学者の中には親の行為を知らなかった子どももいたようだという。大学に興味がなかった子どももいた。19歳のOlivia Jadeだ。ロリ・ロックリンの娘である彼女はソーシャルメディアのインフルエンサーだった。入学時には「どれほど授業に行くかわからない」と発言していた。事件発覚後、スポンサーを失い、批判を浴びた。大学も中退するかも知れない。親が彼女を思ってしたことが逆に、彼女の将来を潰してしまった。そう考えると私は彼女をかわいそうに思う。