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「親族が卒業生だと、その大学に入学できる可能性はどれほど上がるでしょうか?」

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イェール大学のキャンパスに集う学生たち=Reuters

“How Much Does Being a Legacy Help YourCollege Admissions Odds?"

7月9日付 ウォールストリート・ジャーナル紙

 

私がイェール大1年生の時のルームメートの一人は、兄と姉に追随して入学し、家族で3番目のイェール大生だった。正直に言うと、彼女はきょうだいと比べて学問的能力は高くなかった。しかし入学者を選ぶ際、legacy(親族にその大学の在籍者や卒業生がいる)というステータスがあると優先して入学させることは広く知られていたので、特段驚かなかった。他の多くのエリート大学にも卒業生の親族(特に子どもや孫)への入学優遇制度がある。優遇することで卒業生を大学に強く関わらせ、寄付を奨励するのだ。一部の家族には「皆がイェールだ、ハーバードだ」などという伝統があり、それを大事にしたい気持ちがあるらしい。そうした卒業生の親族が入学許可を得ると入学率は上がり、キャンパスの文化にもすぐ慣れると言われる。

しかし一流大学への入学がますます難しくなる中、大学がこの制度を維持するのは良いことか、という議論がある。入学者のための座席はcoveted(皆が欲しがる)ので、卒業生の親族をたくさんsoak up(吸い上げる)のはフェアではないと指摘されている。特に、過去の卒業生の構成は、現在の志願者と比べて白人比率が高く、この制度は差別的だと言う声もある。

大学が多様性を追求する中、優遇措置はthe status quo(現状)を維持し、少数民族やfirst―generation college students(親は大学に行っていない大学生)を目指す人に不利だと批判する団体もある。アジア系米国人は高校の成績や試験のスコアが同じでhighly qualified(十分以上に条件を満たしていて)も、白人よりprestigious(高名な)大学に入りにくいと証明されている現在、差別的効果が続いていると指摘する人もいる。他方、大学側は優遇を続けながらも学生の人種的、経済的多様性を増すことは可能と言う。

なお、卒業生の親族であることをweigh(考慮して)も、必ずshoo―in(確実に勝つ、合格する)わけではないそうだ。記事の最後に、母親が通った大学で勉強する学生が1年生の時に周囲から疑いの目で見られたと語っている。私の学生時代と同じだが、当時は思うだけだったことを、今は口にするようになったのは、変化と言えるだろう。