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地球温暖化に「鈍感」な私たち 流れを変える鍵はカネにある

World Now 更新日: 公開日:
温暖化で氷河の後退が進むグリーンランド。ディスコ湾の夕景=石井徹撮影

「気候変動」という問題に対する私たち人類の態度は、生活習慣病を自ら進行させてしまう患者と、どこか似ている。食事の改善や適度の運動が必要、と分かっていても実行できず、体の状況を刻々と悪化させてしまう。

同様に「化石燃料の使用を極力控えること」という地球温暖化に対する処方箋ははっきりしているのに、先進国を中心に多くの人々は、大量生産・大量消費という「生活習慣」を改められない。二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出の抑制を目指す国際会議が進展しない、というニュースは「日常」と化し、人々の危機意識を刺激できなくなりつつある。病状の改善をあきらめた患者が、自らの血糖値や血圧の上昇に鈍感になっていくように。

こうした流れを変える鍵となるのが、温暖化対策を積極的に市場経済に取り込むことだろう。資本主義の世にあって、人々の行動を最も強く動機づける要素の一つがカネであり、状況はカネの流れ次第で大きく変わる。

「人々のカネへの欲望が、さらなる気候変動を引き起こす」という流れの一方で、「地球温暖化を抑制したり、適応策を講じたりすることで稼げる」という状況も生じつつある。私たちは気候変動を巡るカネの動きを追うことで、地球の病状の悪化に歯止めをかける鍵を探す。