‘Rock bottom’: Supreme Court fight reveals a country on the brink
10月6日付 ワシントン・ポスト紙
カバノーが最高裁判事に指名された時、私のようにトランプ大統領に疑問を抱く人びとに懸念が広がった。彼が独立検察官によるクリントン大統領(当時)の不倫疑惑調査に関わったり、ブッシュ政権時には民主党から盗まれたメールを利用したりしたことを知り、さらに懸念は深まった。
その後、高校時代の性的暴行疑惑が浮上。彼のpainful (痛々しい)passion play(キリスト受難のような苦悶劇)が始まった。
被害を訴えた大学教授はFBIの調査を希望。しかし上院司法委員会の共和党議員らはそれを許さず、彼女は結局、議会で証言した。15歳からのトラウマの証言には説得力があった。カバノー自身も証言台に立ったが、感情的になり、nonpartisan(無党派)で独立したjurist(法律専門家)というcarefully constructed facade(慎重に組み立てられた見せかけ)は崩れた。
これに驚いた元最高裁判事や多数の法律学の教授らが、彼は不適任だと公言した。最終的にFBIの調査は行われたが、トランプ政権がその範囲を制限し、sham(偽物)と言えるほどの調査に終わった。高校、イェール大学時代の別の性的暴行疑惑は追及されなかった。本人は否定しているが、少なくとも大学時代のことは事実だろうと推察できる。共和党が「corroboration(裏付け証拠)がない」と一蹴したことには納得がいかない。
議員や評論家、そして、大統領までもがraw partisanship(純粋な党派心)で意見を戦わせた結果、党派間の雰囲気は悪化した。共和党上院議員の言葉を借りれば、rock bottom(もう下がる余地がないほど最低レベル)に行き着いてしまったようだ。
カバノーは僅差で承認されて就任した。この争いは米国がon the brink(瀬戸際に立つ)ことをreveal(明らかにした)と記事は指摘する。党派のpolarization(二極化、断絶)が決定的になった。下院の中間選挙で民主党が勝つと、カバノーとトランプを弾劾する動きが出そうだ。大統領選でのロシア癒着疑惑の調査も一部終了する見込みだ。そのためwhirlwind on the horizon(地平線上につむじ風が見える、目まぐるしい出来事が差し迫る)と言え、米国政治の争いは一層escalate(増加する)と予想されている。