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人は食べたものでできている 食のブームに脅されないために大切なこと

マイケル・ブースの世界を食べる
photo: Kitamura Reina
photo: Kitamura Reina

うちの近所に、新しいゴミ処理場ができようとしている。ゴミを燃やして何千戸分ものエネルギーを生み出すのだ。

なんとなく子どもたちや彼らが食べているものを見ると、人体もそうしたゴミ処理場のようなものに違いないと思うことがある……見境なくのみ込む焼却炉だと。子どもたちはほとんどどんな燃料でも燃やしてエネルギーを起こせるようだ。何を食べるかはさほど問題でない。すべては、人体という驚くべき装置によって、動作やカオス、大騒ぎのもととなる。

子どもたちががつがつ食べるのが、お菓子や炭酸飲料、加工されたパンだろうが、私が子どもたちのために毎日食卓に出そうと努力している、有機野菜と放し飼いで育てた鶏の肉のあぶり焼きといったバランスのとれた食事だろうが、それほど大きな違いはないようだ。どちらかといえば、食事がよくないほど、より多くのエネルギーを子どもたちは蓄える。ゴミを処理しているのと変わりない。

いやいや、そんなはずはない。確かに、偉大なるフランス人美食家、ブリアサバランも記した通り、私たちは自分が食べたものでできている(その場合、私はおおよそミルクチョコレートとロックフォールチーズでできている)。

グローバル企業全体が、一生懸命私たちに次のようなことを信じ込ませようとしている。

食べてもっと健康に、細く、幸せになれますよと。とりわけ、企業が製品を宣伝する広告を踏まえれば、サプリメントなどを買えばより美しくなれますよ、となる。

強い骨、爪、髪のためには骨からとっただし(古き良き時代のスープのもと)を飲むように言われていると思ったら次は、間違いなくコンブチャ(紅茶キノコ)は腸内細菌を活性化するとか、ウコンは100歳まで生きるのに役に立つとか専門家が言ってくる。

移り変わっていく食ブーム

食にまつわるブームが生まれては消えていくのを、何年も日本を訪れる中で見てきた。

飲むお酢から、コラーゲンを加えた食品(北海道ではコラーゲンアイスなるものを試食するという災難に遭った)、「健康」塩まであった。その「健康」塩は、ミネラルによる効果があると彼らが訴える量を摂取すると、食塩中毒で命を落としてしまうことがあるかもしれない。

そして何にもまして大豆である。コーヒーのチェーン店では「ソイ・ラテ」が大人気で、スーパーの棚では豆乳が他の品々を隅に追いやっている。

これは、近年私たちを引きつけているたんぱく質摂取への熱狂ぶりが一因だ。高タンパク食によって体重が減って、そのまま維持され、血糖値やエネルギーのレベルを安定させるという考えに基づいている。他にも、大豆は、女性の乳がんリスクを低下させ、血圧を下げるのに役立ち、心臓にいいとも言われている。

真実なのかもしれないが、それはあくまでバランスの取れた食事があってのこと。それに日本では、とても健康的とは言えない量の塩分を含む大豆製品も多い。例えば、みそにしても、しょうゆにしても、たんぱく質の健康効果を打ち消しかねない。

ここにこそ、健康にいい食事へのカギがある。「特効薬」となるような食べ物はないのだ。「よい」とされる食べ物だって、たくさんのただし書きや落とし穴がある。大豆は遺伝子組み換えだろうか。殺虫剤や化学肥料を使って栽培されてはいないだろうか。

しかし、互いにバランスをとって食べられている物も多い。そう、健康によくない食べ物だって、体に害にならない場合もあるし、より長寿で、幸せに生きられる効果があるかもしれない。

でも、そうした食べ物は、社会生活や人間関係、もちろん運動、そして遺伝的特徴による避けられない運命などと同様に、全体の一部に過ぎない。

かなり運もよくなければいけない。世界のどんなソイ・ラテでも、左右をよく見ず道路を渡ったとき、バスにひかれるのを防いではくれないのだから。

(訳・菴原みなと)