“Labeling processed foods as 'clean' makes us feel safe. And that's a problem.”
2017年11月27日付 ワシントン・ポスト紙
米国ではclean eatingがトレンドだ。人工色素や香料、保存料を使わず、食べ物をできるだけ自然に近い状態で食べることを意味する。そのため「クリーン」イコール健康に良いと広く信じられている。そもそもクリーンイーティングを実践するなら、加工食品は避けるべきだ。が、便利さを求める米国人はhave their cake and eat it too(一挙両得)をしたがる。そのため化学的、人工的な材料が入っていない商品をclamoring for(求めて騒いでいる)のだ。それに応じて加工食品メーカーも製品のreformulation(組成変更、成分の見直し)に取り組み始めた。
しかし今回取り上げた記事の記者は20年以上、食品栄養について報道してきて、このトレンドに疑問を投げかける。まず消費者が慣れ親しんだ商品を変えると、味が落ちるかも知れない。記事冒頭でも、切って焼くだけのクッキー生地の材料を変え、消費者の反発を買った会社の例を紹介。記者はadditives(添加物)を除いた食品が、そうではない食品より健康的かは疑問だと言う。記者の意見ではin the main(ほとんどの場合)より健康的だとは断言できないそうだ。なぜなら自然な食材は全て無害とも言えないからだ。
例えば塩、砂糖、saturated fat(飽和脂肪)は自然なものだが、取り過ぎは問題となり得る。自然な食材を生かしても、多くの加工食品は食物繊維が不足していたり、必要な栄養が足りなかったりする。しかし消費者はラベルを見て化学的な要素がないと健康的だと勘違いする恐れがあるという。
メーカーにとって添加物を取り除く手間はbig hairy distraction(厄介で注意をそらすこと)にもなるという。米国には安くてカロリーが高く、栄養に欠けていてもirresistibly(あらがい難いほどに)おいしい食品が至るところにあり、それらが肥満蔓延(まんえん)の原因になっている。それなのにメーカーは食品を「クリーン」にするためには投資しても、本当に健康的な食品のためには投資していないと記者は主張。メーカーは消費者が求める物を作るなら、消費者は何を求めるかについてもっと注意を払うべきだとしている。
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