漫画「税金で買った本」 原作者「ずいの」さんに聞く 図書館はおもしろい場所
本や漫画を読むことが元々好きで、図書館も好きだったので、大学で軽い気持ちで司書資格についての授業を取った。卒業時に良い感じの就職先が見つからず、たまたま非正規の図書館員の求人があり、流れで図書館員になった。
漫画家にもなりたい気持ちがあり、図書館員をしながら描いていた。それを「週刊ヤングマガジン」編集部の方が見つけてくれた。何を書くかを考えたとき、それまでの漫画やドラマに出てくる図書館の描かれ方が現実と違い、個人的に納得がいかないところがあり、既存のものとは違う観点から図書館を書くことにした。特に借りた本の弁償というテーマは意外と扱われておらず、取り上げたいと考えた。
作品では、登場人物たちを魅力的にすることと、テンポ良く題材を扱うことは心がけた。図書館員に非正規雇用が多いことは合理的な面もあるが、何とかしてほしい気持ちがあった。作品をきっかけに図書館の利用者が増え、労働環境が良くなってほしいと思い、主要登場人物たちを非正規雇用にして盛り込んだ。
図書館全体では、日本の多くの自治体で人口が減り、利用者数は開館当初に比べて減っている。図書館が必要なことはわかっているが、水道や電気と違い、どの程度必要なのかという度合いが数値化できないサービスだと思う。地域の財政でどこまでできるのか、住民の希望に添えないならサービスをどう減らすかということは難しい問題だ。
日本の「図書館の自由に関する宣言」は、小説「図書館戦争」でも取り上げられた。大げさに感じるかもしれないが、過去に禁書のようなことがあり、蔵書が偏らされたという歴史があっての宣言だと思う。アメリカで起きていることは外部から図書館の公平性を偏らせ、それぞれに都合の良いように図書館を操ろうとする人たちが増えている印象だ。アメリカの公立図書館や学校図書館の人たちは図書館としての理念を守ろうと大変だと思う。
図書館とは少し広い視点で言えば、お金がある人だけが多くの情報にアクセスできるという格差を、なるべく平らにしてくれる、お金をもっていない人も情報にたどり着ける場所だと思う。全てデジタル化することが今後あるかもしれないが、図書館というサービス自体は公共のものとして維持する必要があるだろう。