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世界に広がる小さな図書館、リトルフリーライブラリー

World Now 更新日: 公開日:
NPO「リトル・フリー・ライブラリー」のCEO、ダニエル・ガムニットさん=2026年6月、ミネソタ州セントポール市、秋山訓子撮影

小さな郵便ポストのような箱の中に本が入っていて、誰でも自由にその本を持ち帰ることができ、補充することも可能という「リトル・フリー・ライブラリー」。アメリカで始まったNPOの活動で、世界に広がっています。NPOのCEOに話を聞きました。

アメリカ・ミネソタ州が本拠のNPO「リトル・フリー・ライブラリー」(LFL、日本語では「世界で一番小さな図書館」とも表される)。LFLとは縦横30センチ程度の郵便ポストのような箱を設置し、中に本を入れ、誰でも自由にその本を持ち出し、補充もできる活動だ。2009年に始まった。

LFLを設置して登録するとアプリやウェブサイトに場所が記される。ミネソタ州では個人宅の庭先や公共施設に多くのLFLがあるのを見かけるが、今や日本を含む世界120カ国以上に、20万を超えるLFLがある。

リトル・フリー・ライブラリー。家の庭先に設置されることも多い=2026年6月、ミネソタ州セントポール市、秋山訓子撮影

コロナ禍で爆発的に伸びる

「(新型)コロナの時に私たちの図書館数は爆発的に伸びた」。CEOのダニエル・ガムニットさんは語る。

「LFLは単に物を受け渡す場所ではなかった。人々がまだ地域とつながっていると感じられる場所でもあった。心理的にも、人々はつながりを必要としていて、LFLはそのつながりを支えた」

コロナのときはLFLの中に食料品や衛生用品も置かれ、人々の自主的な物資の補給基地としても機能した。

「LFLは本箱ごとに特色が違う。ある本箱には大人向けのミステリー小説、別の本箱には子ども向けの本が多い。また別の本箱には食べ物が多い。家族が子どもや犬と散歩しながら、いくつものLFLを巡ることがある。子どもがベビーカーから降りて、中に何があるのかを見て、また次の本箱へ行く、というように。それはまるで宝探しのよう。本を探しているようでいて、実は地域を歩き、近所を知り、人とつながっている。そこにLFLの魅力がある」とガムニットさん。

アメリカでは今、学校図書館や公共図書館の本が異議申し立てをされ、書棚から撤去される「禁書」の動きが広がっている。LFLではこれに対し、禁書が問題になっている地域を可視化する「Book Ban Map」を作っている。

本へのアクセスを守ることは使命

「本へのアクセスを守ることは、私たちの使命そのもの。だから、本が読めなくなっている地域があるなら、それを見過ごすことはできない。そこでこの取り組みを始めた。どこで何が起きているのかを知ってもらうことが目的。本が読めない状況が存在することを、多くの人に知ってもらいたい」

缶詰など食料品の入ったボックスもあった=2026年6月、ミネソタ州セントポール、秋山訓子撮影

また「Read in Color」というプログラムも行っている。2020年に、ジョージ・フロイドさんがミネソタ州内で警官に殺害され、その後「ブラック・ライブズ・マター」の運動に発展したことを背景に、人種差別や社会正義、多様な人々の経験や歴史を書いた本を、必要としている地域へ届ける活動だ。

「禁書が起きている地域には、特に追加で本を送る取り組みを行っている。本が撤去されれば、その地域の子どもたちは、その物語に出合えない。だから私たちは、『読む機会』を失わせないことを大切にしている。すべての子どもが、自分自身を本の中に見つけられるべきだという考えだ。多様な物語は、特定の人だけのためではない。すべての子どもに必要だ」